保育所運営費支援(必要財源1000億円)など子育て支援は、待機児童問題への対応を巡り、世論の激しい批判を浴びたこともあり、首相は実施する考えを示した。ただ「赤字国債は発行しない」(首相)考えで、財源確保が困難になるその他の施策については先送りの可能性がある。
高まる歳出圧力
増大する社会保障費などに対応するため、政府は新規国債を発行し続け、15年度末の国債残高は、14年度末から約30兆円増えて約910兆円にまで膨れあがっている。
借金返済は大きな負担で、16年度予算では、債務償還費や利払い費などの国債費に総額の約4分の1に当たる23.6兆円もの金額を計上している。
現在は日銀の金融緩和で低金利が続いているが、将来的に金利が上昇して国債利払い費が急増する恐れもある。財政健全化には抜本的な歳出入改革が急務だが、秋に景気下支えのための大型補正予算案を編成する方針で、歳出圧力は高まる。首相は難しいかじ取りを迫られる。