年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)が29日、保有株式などの開示に踏み切ったのは、透明性をアピールし、年金運用への国民の不安を払拭するためだ。この10年の収益はプラスで、利子や配当収入も毎年2兆円ずつ増えており、年金財政を圧迫しているわけではない。一方、リスクへの説明や、損失が生じた場合の仕組みが不十分だとする指摘もある。
「透明性と説明責任を図ることで信頼の向上につなげたい」
GPIFの高橋則広理事長は29日に記者会見し、こう強調した。その上で「積立金が短期間で上下しても給付には影響しない」と述べ、損失の発生で年金が減るのではないかとの見方を打ち消した。毎年の給付はその年の保険料と国庫負担を中心にまかなわれ、長期的な運用も高い収益率を維持しているからだ。
GPIFは平成26年10月から債券を減らし、株式の運用を増やした。高橋理事長は「運用の多様化はアドバンテージ。収益力は相応に確保できている」と話す。長期運用で重要になる利子・配当収入は過去10年で21兆円に上っている。
カナダの公的年金積立金を運用するカナダ年金プラン投資理事会(CPPIB)や、米カリフォルニア州職員退職年金基金(CalPERS)などと比べ、GPIFの株式比率が突出しているわけでもない。