【田村秀男の経済から世界を読む】
政府は2日、臨時閣議で事業費28兆1000億円の大型経済対策を決定した。成否の鍵は、財政支出が民間の消費や投資の呼び水となるかどうかにある。国内で積み上がる年間約100兆円の余剰資金を流れ出すようにする。そのためには一過性ではなく、中期的で継続的な財政拡張・成長戦略を明確にし、内需の確信を民間で回復させるべきだ。
政府経済対策は保育、介護、最低賃金引き上げなど家計へ目配りするが、目的に掲げる「未来への投資の加速」は迫力不足だ。目玉はリニア中央新幹線の前倒しだが、あとは各省庁官僚による小粒の寄せ集めだ。財政をテコに民間で眠る膨大な資金を動員してみせる、という安倍政権の気迫が伝わってこない。
官僚の思い込み障害
障害は、財務官僚が長年にわたって政治に刷り込んできた膨大な政府債務と財源難という思い込みだ。政府債務はネットでみると国内総生産(GDP)比は米国と同水準で、世界最大の対外債務国米国の方は大統領候補の共和党トランプ、民主党クリントン両氏とも、財政出動で競い合っている。最大の対外債権国日本は札束の山に埋もれ、沈みかけている。