
記者会見する日銀の岩田規久男副総裁=4日午後、横浜市【拡大】
日銀の岩田規久男副総裁は4日、横浜市内で講演後に記者会見し、2%の物価上昇率目標に絡み、「金融緩和の程度を縮小することはあり得ない」と述べた。9月の金融政策決定会合で行う「総括的な検証」で緩和縮小に向かうとの観測を否定したものだ。黒田東彦(はるひこ)総裁も2日に「そうしたことにはならない」と発言するなど、正副総裁がそろって打ち消した。
日銀が総括的な検証の実施を公表後、市場では日銀が国債買い入れの減額に動くとの見方が浮上し、長期金利が急騰した。岩田副総裁は「2%の早期達成のために一番いい組み合わせを検証していく」と述べ、今後も量・質・金利の3次元を軸に緩和手段を検討していく方針を強調した。
第3次安倍再改造内閣の発足を前に、政府は大規模経済対策を打ち出した。岩田副総裁は「金利が幅広くマイナス圏にある下で財政政策を行えば、景気刺激効果は非常に強力になる」と評価。一方、日銀が国債を直接引き受けて財政支出を支える「ヘリコプターマネー政策」については「その是非を論じることは建設的ではない」と述べ、否定的な考えを示した。