
ミドリムシ由来の国産バイオジェット燃料計画をアピールするユーグレナの出雲充社長(左から3人目)ら。国産化の実現に向け期待が高まっている=2015年12月、羽田空港【拡大】
バイオ燃料は主に光合成で成長する植物を原料としており、生育段階でCO2を吸収するため、燃やしても地球上のCO2総量は増えない扱いになる。
温暖化対策の新たな国際枠組み「パリ協定」では、全世界の国に対し今世紀後半に温室効果ガス排出量を実質ゼロにするよう求めた。こうした温室効果ガス削減に貢献するため、国際民間航空機関(ICAO)は20年以降、CO2排出を頭打ちにする目標を掲げており、航空業界が対策の“切り札”とするのがバイオジェット燃料の導入だ。
欧米では既に取り組みが進んでいるが、国土が狭い日本では原料の確保にも課題があり、使用例は日本航空が09年に試験飛行で用いるなど数回にとどまる。だが、バイオベンチャー「ユーグレナ」がミドリムシ由来のバイオジェット燃料を20年までに実用化すると発表するなど導入に向けた機運は高まっている。
「五輪ありき」計画
バイオジェット燃料の製造から航空機に給油するまでのサプライチェーン(供給網)整備には最低2年かかるといわれ、東京五輪までに対応を済ませるとなれば18年度には計画に着手する必要がある。政府と関係業界は17年度内に給油関係事業者や航空会社への説明を進めると同時に、インフラ整備や輸送方法の具体化に向けた検討を急ぐ。