
ケニアのケニヤッタ大統領(右)と共同記者発表する安倍首相=8月26日、ナイロビ(代表撮影・共同)【拡大】
ここでまた、象牙の密輸に登場してもらおう。
中国外務省は、中国の象牙密輸を暴いた「EIAの報告書には根拠がない。中国は野生動物の保護を一貫して重視してきた」と反論する。だが、少数民族や自国民ですら「保護」するどころか、大量虐殺を「一貫して重視してきた」加害者が言っても説得力はゼロ。そればかりか、被支援国の紛争=火に油まで注いでいる。
イスラム過激派を「支援」、ケニア人大量虐殺に手を貸す中国
キリスト教国家と言って差しつかえないケニアが安全保障面で目下、最大脅威と認識するのは、国境を接するソマリアのイスラム過激派武装集団《アッシャバーブ》。アッシャバーブの有力資金源の一つが、1本300万円もする象牙の密売だ。
ケニア国内では2011年以降、ソマリア国境沿いの北東部を中心に、観光客やNGO(非政府組織)関係者の殺害・誘拐事件が続発。アッシャバーブ掃討などに向け、ケニア軍はアフリカ連合(AU)多国籍軍の主力の一角としてソマリアに派兵した。報復に出たアッシャバーブは13年、ナイロビの高級ショッピング・モールを襲撃し、39人を殺し、150人を負傷させた。2015年には、ケニア北東部の大学にテロ攻撃を加え、学生ら150人を殺りくした。