
韓国・釜山で開かれた就職説明会に参加した若者たち=今年4月(聯合=共同)【拡大】
それに加え、在韓米軍の「高高度防衛ミサイル(THAAD)」配備をめぐって、韓国企業に対する中国の経済報復が長期化。韓国経済は急減速し、業績悪化を余儀なくされた大企業は、大学生・大学院生の新卒者(新卒予定者)の採用を減らしている。今後3年間は、多くの学生にとって、「大学卒業=ニート」という過去最悪の「就職氷河期」になると予想されている。今年10月の韓国の失業率は3.4%だが、15~29歳の若年層に限ると9.2%に跳ね上がり、間もなく10%を超えるとの見方もある。
若年層失業率の高さは、社会不安に直結するため対策は急を要する。本来であれば、政府や経済界が連携して対策を進めなくてはならないが、世論を気にして財閥に厳しい態度を示す文在寅(ムン・ジェイン)政権と韓国経済界の関係はうまくいっておらず、連携は事実上無理だ。
この韓国の政権と経済界の“隙間”が、ソウルで日本企業の就職セミナーが開かれる大きな背景だ。ただ、韓国で職がないからといって、韓国人学生は日本企業に就職したいと思うだろうか。日本で最先端技術を習得して、将来的に韓国企業に転職されてしまうと、結果的に日本からの知や技術の流出=“産業スパイ”を育ててしまいかねない。日本企業は、この“落とし穴”にはまってはならない。経団連には再考も含めて慎重な対応が求められる。(平尾孝)
経団連 正式名称は日本経済団体連合会。日本商工会議所、経済同友会と並ぶ「経済3団体」の一つで、東証1部に上場する大企業を中心に構成される。企業会員は1350社。3団体の中でも経済界を代表する団体とされ、会長は「財界総理」と呼ばれる。平成14年に旧経済団体連合会(旧経団連)と日本経営者団体連盟(日経連)が統合して発足した。日本の経済政策に対する提言および発言力の確保を目的に結成され、特に税制についての影響力は大きいといわれる。現会長の榊原定征氏(東レ相談役)の任期は来年5月まで。後任は、副会長で日立製作所会長の中西宏明氏を軸に調整が進められている。