5億人が屋外排泄の国で進むトイレ改革 設置しても「不使用」続々…立ちはだかる宗教の壁 (4/5ページ)


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 「意識の変化を」

モディ氏は演説で、「トイレが第一、寺院はその次」とも述べた。あえて宗教よりも、公衆衛生の優先順位は高いと言及したのだ。モディ氏が進めるトイレ改革は、インド人の考え方を変えていく作業にほかならない。

 インドで貧困問題に取り組み、アジアのノーベル賞といわれる「マグサイサイ賞」を受賞したベズワダ・ウィルソンさんは産経新聞の取材に「インドを清潔にしようという活動は意義としては賛同できる」とした上で、「カーストの問題を放置していては、抜本的な解決にならない」と断言している。

 インドでは、下水が詰まった際、排水管内部に入って手作業で清掃する人たちが3万人ほどいて、全員が低カーストの人たちだという。衛生状況は最悪で昨年は有毒ガスや感染症などにより、約850人が死亡したとされる。ウィルソンさんは「不浄なことは『すべて下位カーストに任せる』という思考が国民に染み込んでいる。トイレ改革を通じて、インド人の意識が変わることを願う」と話している。

中国では習氏が改善の大号令