【山本隆三の快刀乱麻】ガス火力、再エネの潮流不変 効果薄い米大統領の石炭復活策 (2/4ページ)

  • 米国内の石炭火力発電所=ワイオミング州(AP)

 トランプ大統領が石炭復活の具体策を打ち出すのは、炭鉱関連労働者の支持を固めるだけではない。共和党保守層の多くが石炭復活を支持しており、温暖化は人為的なもので発生していないとの立場に立つ。共和党のコアの支持者の意向に沿った政策を進めるトランプ大統領が、二酸化炭素(CO2)排出量の増加に結び付く自動車の排ガス規制の緩和とCPP廃棄を中間選挙前に決めたのは、支持固めの一環だろう。

減少傾向止まらず

 石炭火力は、2000年初頭まで米国の電力供給の約50%を担っていた。しかし、その後、安価なシェールガスが商業ベースで供給されるようになると相対的な競争力を失い、炭鉱地帯から離れた石炭火力を中心に閉鎖が進んだ。さらに、米国内の電力需要量が伸び悩むなか、南部、中西部を中心に風力発電設備が増えたことも石炭火力に影響を与えた。石炭火力の発電量は16年に米国史上初めて、天然ガス火力を下回った。

 米国の石炭消費量の90%以上は発電用で、電力業界での石炭消費量の減少は石炭生産量にも大きな影響を与える。16年の米大統領選で、温暖化問題に熱心な民主党のヒラリー・クリントン候補は、石炭生産量のさらなる減少を前提に炭鉱地帯の地域振興策を打ち出した。それに対抗し、石炭生産を復活させると訴えて選挙を戦ったのがトランプ大統領だった。

 トランプ大統領は当選後、採炭に関する環境規制の緩和、連邦政府所有地での石炭鉱区権設定凍結解除を打ち出したものの、経済性の観点から消費が減っていた石炭の消費量増加には結び付かなかった。17年の石炭生産量は輸出増加に支えられ、前年比6%増の7億7400万ショートトン(ST)となったが、14年の10億STには遠く及ばない。2018年第1四半期の生産量は前年同期比5%減と、減少傾向に歯止めが掛かっていない。

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