【山本隆三の快刀乱麻】ガス火力、再エネの潮流不変 効果薄い米大統領の石炭復活策 (3/4ページ)

  • 米国内の石炭火力発電所=ワイオミング州(AP)

 米エネルギー省は昨年9月、燃料を90日以上サイトに保有している発電所は送電網の安定化、強靭(きようじん)化に寄与するとの理由で、発電所を維持するための支援を行う制度を提案した。対象は石炭火力と原子力。この提案は、発電所サイトに燃料をためておくことと送電網の安定化とはなんの関係もないと批判を浴びることとなり、今年1月に連邦エネルギー規制委員会の反対にあい、葬られることになった。

 EPAはオバマ政権下の14年6月、米国のCO2排出削減のため、米国の総排出量の約3分の1を占める電力業界を対象にCPPを導入することを発表した。15年10月の連邦官報で規制案を公表した後、規制案は違法との訴訟が27州から起こされ、16年2月、最高裁から訴訟期間中の実施見合わせが認められた。

 トランプ大統領は昨年3月、EPAにCPP見直しを指示した。EPAは全米各地で公聴会を実施するなどして、今年8月21日、CPPを破棄し、代替の規制案としてACE(許容できるクリーンエネルギー)規則を導入することを発表した。

新規制案「ACE」

 ACEの特徴は、CO2排出削減策を既存プラントの熱効率改善に求めていることだ。石炭火力を天然ガス火力に切り替えるなど、電源切り替えによる削減は想定されていない。数値目標は設定されず、実施する対策は州政府に任されている。EPAが発表予定の候補技術を利用し、既存プラントでの排出削減を進めることが求められる。

 ACEを導入した場合の効果について、対策を何も講じない場合と比べて30年時点でCO2排出量を1300万~2700万トン削減する効果があるとEPAは想定している。しかし、CPPと比べると、排出量は4800万~6100万トン増加する。硫黄酸化物、窒素酸化物も増加し、健康被害が生じることがEPAの分析でも明らかになっている。2030年のケースごとのCO2排出量は以下のように想定されている。

 ■2030年の米電力部門CO2排出量見込み

 (排出量(100万トン)/05年比削減率(%))

 ・現状維持・対策なし

  1,811/32

 ・クリーンパワープラン

  1,737/35

 ・ACE 熱効率改善率2%・キロワット当たりコスト50ドル

  1,798/33

 ・ACE 同4.5%・同50ドル

  1,797/33

 ・ACE 同4.5%・同100ドル

  1,785/33

 ※出所:米環境保護庁

続きを読む