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パナソニック、企業向け事業強化 GM、IBMと提携拡大

ニュースカテゴリ:企業の電機

パナソニック、企業向け事業強化 GM、IBMと提携拡大

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 パナソニックは9日、米ゼネラル・モーターズ(GM)や米IBMと提携関係を拡大したことを明らかにした。

 GMと車載機器の共同開発を加速するほか、IBMとはIT(情報技術)を活用した家電事業で新たに協業する。テレビなど一般消費者向け事業に依存した経営体質から脱却し、企業向け事業の強化で収益の改善につなげる。

 米ネバダ州ラスベガスで8日(日本時間9日未明)開幕した家電見本市コンシューマー・エレクトロニクス・ショー(CES)の基調講演で、パナソニックの津賀一宏社長が表明した。

 「パナソニックの貢献はリビングルームをはるかに超えて広がっている」

 津賀社長はCESの基調講演で身ぶりを交えながら、収益構造を企業向けにシフトする姿勢を強調した。

 カーオーディオの開発などで協業しているGMとは、自動車用の新たな情報システムを開発し、GM車に搭載する方向だ。すでにカーオーディオとスマートフォン(高機能携帯電話)を連携させたシステムを共同で開発している。

 インターネット上でソフトウエアを利用するクラウド技術で提携しているIBMとは、ネットとつながった「スマート家電」と、情報処理技術を活用した共同事業を検討する。具体的には、家電の電力消費量を細かく管理し、省エネにつなげる事業などを視野に入れる。

 価格下落の激しいテレビ事業の不振が響き、パナソニックは2013年3月期の最終損益が7650億円の赤字と、2年連続で巨額赤字を計上する見通しだ。このため兵庫県尼崎市のテレビパネルの最新鋭工場を停止するなど、かつて稼ぎ頭だったテレビ事業を大幅に縮小する。

 同じくテレビ事業の不振で、ソニーとシャープも12年3月期に過去最悪の最終赤字に転落。いち早くテレビの国内生産から撤退し、インフラなど企業向け事業に力を入れる日立製作所や東芝の業績が堅調なのとは対照的で、今後も企業向け事業を拡大する動きが加速しそうだ。

 ただ、パナソニックはハイブリッド車向けなど車載用電池で高いシェアを誇った三洋電機や、住宅設備などに強みを持つ旧パナソニック電工を11年4月に完全子会社化。企業向け事業を強化する布石を打ってきたにもかかわらず、「相乗効果は十分に発揮されていない」(証券アナリスト)のが現状だ。

 過度にテレビに依存した経営体質からの決別だけでなく、新たな成長戦略の構築も求められる。(米ラスベガス 米沢文)

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