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回復遅い電機大手、円安恩恵は限定的 リストラ効果が中心
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決算などを発表する富士通の山本正已社長=7日、東京都港区 日本経済を牽引(けんいん)してきた電機大手の収益力回復が遅れている。7日出そろった大手8社の2012年4~12月期決算は、半導体事業を大幅に縮小する富士通など4社が最終赤字、2社が大幅な最終減益となった。昨年10~12月期に営業黒字に転換したソニーも足元の業績回復はリストラ効果が中心だ。事業規模が縮小する中、円高是正の恩恵をフルに受けられず、不振のデジタル家電に代わる新たな成長事業も見いだせていない。
「ビジネス量が減る中で、すぐには為替差益は出てこない」。7日会見したソニーの加藤優CFO(最高財務責任者)はこう嘆いた。ソニーの円安による利益の押し上げ効果は、下期(12年10月~13年3月期)で170億円。これに対し、トヨタ自動車は同じ下期で1400億円のプラス効果だ。業績の上方修正が相次ぐ自動車に比べると、電機業界の円安効果は限定的だ。
13年3月期の業績予想を下方修正した日立製作所の中村豊明副社長は、「売上高のマイナスで相殺している」と、円安効果が十分に得られない理由を説明する。トヨタは13年3月期の売上高が約17%増えるのに対し、日立は8%減。ソニーも2%の増加にとどまる見込み。経営規模の縮小によって、円安効果がフルに表れない。
テレビなどのデジタル家電は韓国勢などとの国際競争が激化し採算が悪化。各社はテレビ事業を縮小するなどリストラを進めるが、その影響は半導体にも表れている。
富士通が13年3月期に950億円の最終赤字に転落するのも、デジタル家電の不振で半導体事業を本体から切り離すリストラ関連費用がかさむためだ。
同社は同日、パナソニックと自動車やデジタル家電に使う半導体「システムLSI」事業の設計・開発機能などを統合し、新会社を設立することで基本合意したと発表。不振の同事業で両社の技術や顧客基盤を集約し、競争力を高める。日本政策投資銀行にも出資を求めた。
富士通はシステムLSI製造についても、台湾の半導体受託製造大手の台湾積体電路製造(TSMC)などと新会社設立を検討する。子会社の三重工場(三重県桑名市)の一部を新会社に移す方針。これに伴い、早期退職制度や派遣社員の削減などで約5000人を削減するほか、新会社に約4500人を移す。
一方、昨年度に過去最悪の最終赤字を計上したソニー、パナソニック、シャープの3社は、12年10~12月期は営業黒字に転換した。ただ、これも人員削減などのリストラ効果が大きい。ソニーは米国本社など資産売却で通期の最終黒字を見込むが、本業のエレクトロニクス部門の赤字は残る。
かつて日本の電機メーカーは半導体やテレビ、ビデオなどで世界を席巻した。ソニーの加藤CFOは「今の為替水準なら来年度は強い追い風が吹く」と強調するが、縮小均衡ではない本業での成長がなければ、日本の電機の本格回復は遠い。
売上高 営業損益 最終損益
日立製作所 6兆4687(▲5.4) 2319(▲12.7) 503(▲40.9)
パナソニック 5兆4396(▲8.8) 1219( 3.1倍) ▲6238( - )
ソニー 5兆0678( 3.6) 829( - ) ▲ 508( - )
東芝 4兆0429(▲7.1) 982( 12.1) 545( 6.2倍)
富士通 3兆1200(▲1.6) 35(▲65.2) ▲ 901( - )
三菱電機 2兆5068(▲2.1) 1132(▲30.0) 491(▲40.1)
NEC 2兆1698( 2.7) 718( - ) 114( - )
シャープ 1兆7824(▲6.4) ▲1662( - ) ▲4243( - )
※単位:億円。カッコ内は前年同期比増減率%、-は比較できず。▲は赤字またはマイナス