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ソニー、パナソニックが有機ELで共同生産会社 「日の丸連合」巻き返し
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有機ELパネル生産会社の枠組み ソニーとパナソニックが次世代テレビ技術と期待される有機EL(エレクトロルミネッセンス)パネルを生産する共同出資会社の設立に向け協議に入ったことが15日、分かった。
官民ファンドの産業革新機構も出資する方向で調整し、2013年度にも設立する。有機ELテレビの商品化ではサムスン電子など韓国勢が先行しているが、ライバル関係にある両雄がタッグを組み、「日の丸連合」で巻き返しを図る。
共同出資で投資負担を減らし、生産コスト引き下げを加速するのが狙い。革新機構も出資し日本の「お家芸」だったテレビ産業の復活を支援。生産会社の資本金や出資比率、工場の立地場所など詳細は今後詰める。
共同出資会社で生産した有機ELパネルは、ソニーとパナソニックがそれぞれ引き取り、自社の家庭用テレビや、医療機関や放送局などで使用する業務用モニターなどに組み込んで販売する計画だ。パネルを他のテレビメーカーなどに販売することも検討している。
両社は昨年6月、有機ELパネルの研究開発で提携、年内の量産技術確立を目指している。今回、提携関係を生産段階にまで拡大し国際競争力を高める。
有機ELは電圧をかけると発光する有機物でできた電子材料で、液晶テレビよりも薄くできるほか、画質も高く、消費電力も少ないといった特徴がある。有機ELテレビをめぐってはLG電子が今年2月の発売を計画し、サムスン電子は今年前半にも発売するとみられている。
ブラウン管テレビの時代に世界市場を席巻したソニーとパナソニックだが、薄型テレビの普及とともに韓国勢が大規模な設備投資で攻勢をかけ、競争が激化した。
これに対し、ソニーはブラウン管時代の成功体験が抜けきれず、薄型テレビ用パネルの投資で出遅れた。
一方のパナソニックは数千億円規模の巨額を投じ、パネルの新工場を国内に建設して韓国勢に対抗したが、製品価格の下落や円高などで採算が悪化。結果的に「過剰投資になった」(同社幹部)。