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ソニーとパナソニックが体制構築を急ぐワケ 薄型テレビ事業の教訓
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ソニーが披露した4K対応の有機ELテレビ=7日、米国ラスベガス ソニーとパナソニックが共同で有機EL(エレクトロルミネッセンス)パネルの生産会社設立に踏み込む背景は、生産の自前主義にこだわり、過剰投資で失敗した液晶など薄型テレビ事業の二の舞いを避けるためだ。
韓国勢はすでに製品化に向けた具体的な動きに入っており、両社は開発と生産体制の構築を急ピッチで進めたい考え。
パナソニックはかつてプラズマパネル工場に集中投資したが、広く普及することのないまま生産縮小に追い込まれた。
ソニーも韓国サムスン電子との液晶パネルの合弁生産を解消した。テレビは汎用(はんよう)品化が進んだことで販売価格が急落。長引く円高の打撃もあって、かつての稼ぎ頭だったテレビ事業は現在では足を引っ張る存在となっている。
2012年3月期のテレビ事業はソニーが8期連続、パナソニックが4期連続で赤字となり、このため両社とも同期は過去最悪の最終赤字の計上を余儀なくされた。
両社ともテレビ生産台数を絞り、事業の立て直しを急いでいるが、有機ELテレビで同じ失敗を繰り返さないためには単独での投資を避け、負担を軽減する必要があると判断した。
米調査会社のNPDディスプレイサーチによると、12年1~9月期の液晶テレビ世界市場のメーカー別シェアは、サムスン(25.0%)、LG電子(13.7%)と韓国勢が首位を争っているのに対し、3位のソニー(8.9%)、7位のパナソニック(4.7%)は大きく水をあけられている。
一方、有機ELテレビも今後は価格下落が進み、16年の世界市場は約99億ドル(約9100億円)と、13年見込みに比べ31倍に膨らむ見通し。
そんな中、LGは今月18日、先陣を切って韓国で有機ELテレビを発売する。この新しい市場を主導するには、韓国勢がシェアを拡大する前に、いち早く製品化にこぎ着ける必要がある。
かつての家庭用ビデオレコーダーの規格争い「VHS・ベータ戦争」に象徴されるように、ソニーとパナソニックは長年のライバルだった。その両社が手を組まなければならないほど、日本のテレビ産業は追い込まれた状況ともいえる。(米沢文)