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パナソニック“先祖返り”の真意 事業部制を復活させたワケ

ニュースカテゴリ:企業の経営

パナソニック“先祖返り”の真意 事業部制を復活させたワケ

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パナソニック「事業組織」の変遷  パナソニックは19日、創業者の松下幸之助氏が昭和8年に導入した製品ごとに開発から生産、営業まで一元管理する「事業部制」を、4月1日付で復活する方針を明らかにした。

 プラズマテレビの失敗の要因とされる、消費者のニーズと乖離(かいり)した製品開発態勢を是正するのが狙いだ。

 かつて、「重複やムダが多い」として中村邦夫社長(現・相談役)が平成13年に廃止した事業部制の復活は、パナ再生の切り札となるか。

 パナソニックでは現在、事業や製品ごとに約90の「ビジネスユニット(BU)」に分かれ、製品の企画・開発を行っている。

 ただ、大半のBUは生産や営業が別部門になっており、生産や営業の現場からの意見が商品開発に反映されにくい態勢だった。

 このため巨額赤字の要因となったプラズマテレビ事業の場合、「高精細な画面など技術面に走り、消費者が求めたデザイン性などが開発部門に伝わらなかった」(同社幹部)と、過ちを指摘する声もある。

 パナソニックはBUを50程度に集約し「事業部」の名称に変更。生産・営業部門も事業部に取り込み、開発と営業が一体化した市場のニーズに合った製品を投入する狙いだ。

 松下氏は各部門が独立採算で競い合う組織の構築を目的に事業部制を導入し、業績向上につなげた。だが、半世紀以上の間に100を超える事業部が乱立。

 異なる事業部で、複数ブランドのファクスを販売したほか、3事業部が独自にデジカメの開発を行うなど事業の重複による無駄が目立ちはじめた。

 このため中村氏は事業部制を廃止し、企画・開発▽生産▽営業などの業務内容ごとに組織を再編した、という経緯がある。

 それだけに、単に収益管理を徹底し利益率を高めるための事業部制の復活では、かつてのように重複によるムダが増える可能性がある。

 同社は二の轍を踏まぬよう、昨年、本社に設置した「コーポレート戦略本社」などが、事業の重複やムダをチェックする方針だ。証券アナリストは「過去の反省点も生かした『時代に合った先祖返り』」と指摘した。

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