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「平成の徳政令」3月末に終了 連鎖倒産に怯える被災地の中小企業
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円滑化法期限切れ後の金融機関の融資姿勢 中小企業の借金の返済負担を減免する“平成の徳政令”、中小企業金融円滑化法が3月末に終了する影響で、「地元企業の連鎖倒産が起こるのではないか」との懸念が東日本大震災の被災地で広がっている。
円滑化法終了後も、国は「金融機関が中小企業を支援するスタンスは変わらない」としているが、抜本的な代替策は講じられていない。被災地の多くの中小企業は「金融機関の姿勢が厳しくなり、経営に悪影響が出る」と頭を抱えている。(大泉晋之助)
「すぐに返済しなければならないのか」。仙台市内で中小企業のコンサルタントをしている30代の男性に、地元の建設会社から相談が寄せられた。昨年末、政権復帰した自民党が円滑化法を延長しないとの方針を示した直後のことだ。
建設会社は、2008(平成20)年のリーマン・ショックと一昨年の震災の影響をまともに受け、円滑化法の適用で毎月の返済額減免を受けていた。男性は建設会社に「国は支援姿勢が変わらないとしている。金融機関と話し合って、返済計画を検討しましょう」と促した。
しかし、男性は「金融機関が円滑化法から解放される以上、この建設会社の返済条件緩和がいつまで続くかは不透明」と指摘。「国による根本的な代替策が見えてこない。被災地では円滑化法の適用を受けていない企業にも『取引先が適用を受けていれば、うちにまで影響が出る』との疑心暗鬼がある」と話す。
そもそも、被災地では、“3年目不況”がささやかれてきた。というのも、阪神大震災後、兵庫県内の倒産企業は2年目の平成8年度に488件だったが、3年目の9年度には609件と急増したからだ。
各種の支援制度が、震災後2年で切れたことが遠因とみられる。
加えて円滑化法が終了する。帝国データバンク仙台支店によると、調査に回答した東北の企業606社のうち、円滑化法を適用したのは9・1%で全国(7・5%)より高水準。
また、適用企業55社の半数近い27社が「金融機関の姿勢が厳しくなる」と懸念。被災地は戦々恐々としている。
自治体にできることは限られる。宮城県の担当者は「自治体は金融機関を直接指導できる立場にない。県の融資制度にも限りがあり、すべての受け皿は用意できない。影響がどのくらい出るかは未知数」と悩みは深い。
リーマン・ショックのあおりを受けた中小企業を支援するため、民主党政権下の平成21年12月に施行。金融機関が中小企業などから借金の返済負担を軽くしてほしいとの申し出があった際、できる限り条件変更に応じることなどを内容とした。
当初は23年3月で終了予定だったが、2度延長。金融庁では、適用企業は全国で30万社以上、期限到来で廃業などの影響を受ける“危険水域”企業は全国で5万~6万社と推計する。