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「有機EL照明」日本勢が技術アピール 電機各社、量産体制を急ぐ
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パイオニアが開発した有機EL照明を使った化粧台。気分や外出先によって、光の色を変えられる=19日、東京・銀座 電機各社が、次世代照明として期待される有機EL照明の開発を加速している。有機EL技術をめぐっては、テレビへの応用で、日本企業が韓国企業に後れを取った。
だが、照明分野では、日本勢が「技術の高さ、幅広さで世界をリード」(業界関係者)する。軽くて薄く、多様な用途で使用可能なため、各社がいち早く量産体制を確立しようとしのぎを削っている。
東京・銀座のパイオニアのショールーム。1階奥のスペースに今月、新たに化粧台が設置された。鏡の周りを取り囲み、青やピンク色に変わるのが有機EL照明だ。
気分に合わせて色を変えたり、自然光やオフィスの照明環境などを再現し、その日の外出先に合わせたメークができる。
同社は昨年10月、有機EL照明パネルの出荷を開始。2014年度後半から本格的に販売する予定だ。
NECライティングは透ける有機EL照明パネルを開発。絵柄や文字が浮かぶショーウインドーなど、15年の商品化を目指している。
東芝ライテックは透過型の片面発光パネルを使った有機EL照明器具を試作し、コンビニエンスストアの窓際のカウンターテーブルに設置した。日中の消灯時は窓の外が透けて見え、夜間や悪天候で暗くなると、パネルの店内側だけが光る。
点で発光するLED照明とは対照的に、面で発光する有機EL照明は光が柔らかいのが特徴。軽くて薄いのも利点だ。ただ、安定的に明るさを維持するのが困難なうえ、まだ高価なため普及は遅れている。
こうした課題を克服しようと、パナソニックはガラス基板に屈折率の高い樹脂フィルムを貼り合わせ、取り出せる光の量を従来の2.5倍に高めたパネルを開発。16年までに、LED照明と同程度の明るさを安定的に出せる製品の開発を目指している。
富士キメラ総研によると、国内の有機EL照明器具の市場規模は、13年の31億円から、15年には10倍の315億円、20年には35倍の1085億円に膨らむ見通しだ。