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任天堂、ゲーム機不振鮮明 「Wii Uは決め手のソフトが出てない」
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任天堂が24日発表した2013年3月期の連結決算は、本業のもうけを示す営業損益が364億円の赤字(前期は373億円の赤字)となった。
営業赤字は2年連続。昨年発売した据え置き型ゲーム機「Wii U(ウィー・ユー)」と主力の携帯型ゲーム機「ニンテンドー3DS」の販売が、ソフト不足などで伸び悩んだ。
14年3月期は新作ソフトの集中投入などで、3年ぶりの営業黒字を目指すが、スマートフォン(高機能携帯電話)などに押され、ゲーム専用機の不振が鮮明になった形だ。
「Wii Uは決め手となるソフトが出せていない」。同日、記者会見した岩田聡社長は業績不振の最大の理由として、ゲームソフトのタイトル不足を挙げた。
1月末時点で13年3月期の営業損益は200億円の赤字を予想していたが、これよりも164億円赤字が拡大した。
任天堂は業績回復の切り札として、画面の付いたコントローラーとテレビの2画面でゲームを楽しめる「Wii U」を昨年11月から順次、世界で発売。だが、ハード販売は345万台(1月末時点の計画400万台)、ソフトは1342万本(同1600万本)と見込みを下回る。
主力の3DSも「(簡単なゲームを好む)カジュアルゲーマーがスマホに流れている」(ゲーム雑誌出版『エンターブレイン』の浜村弘一社長)ため苦戦。ハード販売は1395万台(同1500万台)、ソフトは4961万本(同5000万本)にとどまった。
円高是正で為替差益395億円が発生し、最終損益は70億円の黒字(前期は432億円の赤字)を確保したものの、1月末時点の予想(140億円の黒字)から半減した。
14年3月期は、自社の有力タイトルを今年後半から来年にかけて集中的に展開し、営業損益は1000億円の黒字、最終損益は550億円の黒字を予想する。
6月下旬の株主総会で森仁洋専務ら4人の取締役が退任する経営陣の若返りも発表。岩田社長は1月、14年3月期に1000億円の営業黒字を達成できない場合の辞任も示唆しており、“背水の陣”で業績回復を目指す。