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日本郵政、上場延期に現実味 かんぽ新商品凍結…市場評価厳しく

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日本郵政、上場延期に現実味 かんぽ新商品凍結…市場評価厳しく

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 日本郵政グループの経営ビジョンが再び不透明さを帯びてきた。

 政府は環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)交渉参加のために、かんぽ生命保険の新商品発売を今後、数年間凍結する方針を打ち出す一方、計画通り2015年秋の株式上場を求めている。

 米国に妥協して成長戦略を閉ざしながら、上場を果たして株式売却益を国庫に納めたいという政府の思惑に、日本郵政の経営陣は困惑する。「民営化」をうたいながらいまだに「国営」から脱しきれない“巨大郵政”への市場の目は厳しさを増している。強引な上場は市場を混乱させかねず、上場延期も現実味を帯びてきた。

 麻生太郎財務・金融相は22日の参院予算委員会で、新規業務の認可の遅れが2015年秋とする上場計画に与える影響について「基本的にはない」と、上場計画に変更はないことを示唆した。

 日本郵政は成長に向けた取り組みが認められない一方で、株式上場は計画どおり求められることになる。日本郵政の関係者からは「展望が描けないままでは、市場から評価されるのは難しい」との嘆きの声があがる。

 日本郵政グループが新規事業の参入を急ぐ背景には、主力の郵便事業の不振がある。電子メールの普及による郵便物の減少や宅配業務の競争激化などで、12年3月期まで3期連続の最終赤字を計上。13年3月期は集配業務の効率化や人件費の削減といったリストラにより、4期ぶりに黒字化する見通しだが、事業環境そのものに好転の兆しは見えていない。

 そこで、日本郵政グループは金融事業の強化で成長シナリオを描く。しかし、頼みの保険や銀行も環境は厳しく、保険契約数や貯金残高は減少傾向が続く。

 11年度末の保険契約数はピークの1996年度末の53.6%減の3903万件、貯金残高も99年度比32.5%減の176.4兆円といずれも激減。「落ち込みを食い止めるには、新たな収益源の育成が欠かせない」(日本郵政幹部)と危機感を募らせる。

 日本郵政グループにとって、新規業務による事業のてこ入れは喫緊の課題。だが、新規業務の参入が凍結されたままでは、「グループ全体の企業価値は高まらない」(石川和男・東京財団上席研究員)との見方もある。

 政府が全額出資する日本郵政は15年秋までの株式上場を目標に掲げる。4兆円と見込まれる売却益は東日本大震災の復興財源に充てられる見込みだ。

 「日本郵政は本当に上場できるのか」

 株の町、東京・兜町ではこんな声がささやかれている。

 民営化を果たしたNTTグループやJRグループなどと比べると事業環境などが異なるためだ。

 NTTグループやJRグループは事業での競合が少ないうえ、成長期待の高さなどから人気化した経緯がある。しかし、日本郵政グループは保険や銀行、物流の3事業はいずれも競合がひしめき、厳しい競争が繰り広げられている。

 こうした中で、「新規業務の参入や新商品を発売できないようでは、成長への期待が持てない。これでは日本郵政に投資したいと考える人はいない」(国内証券アナリスト)と厳しい声もある。

 新規業務参入ができないようでは、投資家から評価を得るのは難しく、上場計画の見直しを迫られる可能性もありそうだ。

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