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化粧品に異業種参入相次ぐワケ グリコ、富士フイルム、サントリー…なぜ?
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味の素が発売した化粧品「jino」。直営店での販売にも力を入れている=大阪市中央区のなんばウォーク 松田聖子さんと、中島みゆきさんや小泉今日子さんが共演したCMで一躍注目を集めた富士フイルムの化粧品「アスタリフト」。同社に限らず、化粧品業界には近年、異業種からの参入が相次いでいる。関西系の企業だけでも、江崎グリコ(大阪市西淀川区)にロート製薬(大阪市生野区)、サントリー(大阪市北区)…。いずれも、本業で長年培ってきた高い技術を化粧品に応用、業務の多角化を図ったことが特徴となっている。(袖中陽一)
「発売から半年、この期間の売り上げ目標の3倍を達成しました」
こう目を輝かせるのは、江崎グリコマーケティング部の稲葉真理子さんだ。同社は昨年10月、「gg(ジージー)」のブランド名でローションとクリームの2種類を発売。ブランド名は、グリコと、製品に含まれるうるおい成分「グリコーゲン」の頭文字からとった。
たくさんのブドウ糖が結合したグリコーゲンは動物の体内に貯蔵され、エネルギー源となることで知られる物質。グリコの社名は、その原点であるキャラメルにグリコーゲンを入れて発売したことに由来する。
グリコーゲンの研究を続けてきた同社は平成16年、世界で初めて人工合成に成功。また、皮膚内にあるグリコーゲンが加齢とともに減ることも突き止めた。
そこで「gg」の製品には、ナノサイズのグリコーゲンを配合。角層内の奥まで浸透したグリコーゲンが、うるおいある健康な肌にするという。
「この製品には、グリコーゲンについての研究成果が実を結んでいます。それが特に乾燥肌などで悩まれる50代前後の女性らにアピールしたのでは」
売り上げが好調なのは、米国の皮膚科学者ゼイン・オバジ氏の名をとったロート製薬の化粧品ブランド「Obagi(オバジ)」も同様だ。近く発表される予定の昨年度決算で、平成13年の発売開始以来、最高の売上高が見込まれているという。
現在は7シリーズ29品を展開しているが、代表的なシリーズが「オバジCシリーズ」。このシリーズでは、肌のくすみや乾燥小じわに効果がある一方で壊れやすいビタミンCを、安定した高濃度の状態で配合。そこに製薬会社ならではの技術が活用されているという。
同社経営企画本部の西脇純子さんは「健康と美は密接な関係がある。健康がテーマの製薬会社が美をテーマとする化粧品を作るのは自然な流れ。もちろん、メンソレータムなどで培った皮膚科学の技術力を生かした製品になっています」と話す。
他にもサントリーグループのサントリーウエルネス(東京都港区)や、日本盛(兵庫県西宮市)、白鶴酒造(神戸市東灘区)などの酒造メーカーは酒には欠かせない酵母などの技術を、また「味の素」(東京都中央区)はうま味成分であるアミノ酸の研究成果をもとに、化粧品を開発している。
こうした異業種からの参入を容易にしている背景には、技術の転用のほかに、化粧品の販売ルートの多様化もあるという。
直接、肌につける化粧品は長年、美容部員らによる店頭販売や訪問販売が主流となってきた。しかし近年では、インターネット通販が身近になったことにより、家庭用の常備薬などと同様、化粧品を通販で購入することへの抵抗感が薄れる傾向にあるという。実際、業界トップの資生堂も昨年4月にサイトを開設、ネット通販に乗り出した。
こうした追い風を受け、今後も意外な業種のメーカーが化粧品業界に名乗りを上げるかもしれない。