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乗り合い型保険に転換期 規制強化で販売戦略に影響か

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乗り合い型保険に転換期 規制強化で販売戦略に影響か

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乗り合い型保険ショップ大手4社の店舗数  複数の保険会社の商品を比較しながら、来店客に提案・販売することで急成長を遂げてきた乗り合い型保険ショップが転換期を迎えようとしている。

 今月17日に開かれた金融庁の金融審議会(首相の諮問機関)の作業部会で、保険ショップに対する規制強化策が示されたためだ。公平・中立をうたいながら、保険ショップにとって有利な販売手数料が高い商品を優先して販売していると疑う声も出ているからだ。右肩上がりで拡大してきた保険ショップの戦略に、規制強化が大きな影響を与える可能性がでてきた。

 顧客のニーズに応え

 「自分から気軽に保険の相談ができるのは良い」。東京都内の繁華街にある乗り合い型保険ショップを訪れた30代の主婦はこう話す。

 近年、乗り合い型保険ショップは急拡大してきた。「ほけんの窓口グループ」「保険見直し本舗」「保険クリニック」「みつばち保険ファーム」の大手4社の店舗数合計は5月末時点で約900店。3年前の約400店から2倍以上に急増した。

 「従来は保険会社が自社のプランの中で提案するだけだったが、専門家に相談し比較しながら保険を選びたいという風に顧客の考え方が変わってきた」。業界最大手のほけんの窓口グループの荒川宗久管理本部長は、嗜好(しこう)の変化が急成長につながったとみる。

 台頭する乗り合い型保険ショップに対抗して、大手生命保険会社も保険ショップの経営に乗り出した。

 住友生命保険は、子会社のいずみライフデザイナーズが乗り合い型保険ショップ「ほけん百花」などを展開する。4月末で首都圏を中心に56店舗を運営、住生以外の商品も販売する。明治安田生命保険も、子会社のMYJを通じて保険ショップ運営に参入している。

 誤解招く公平・中立

 金融審で示された保険ショップに対する規制案は、争点の一つだった販売手数料の開示は見送られたものの、(1)比較可能な商品を明示する(2)特定の保険を推奨する理由の説明を義務づける(3)保険ショップは保険会社の代理店であり、公平・中立などを強調して顧客に誤解させない-などが盛り込まれた。

 保険ショップは通常、数十社の保険を取り扱っており、その中から顧客の相談に乗りつつ最終的に数社の保険を提示する。とはいえ、保険ショップに相談に訪れた都内自営業男性(52)が「多くの保険を扱っているといっても違いが分かりにくく、結局お店の人に任せる」というように、多くの場合、どの保険を選ぶかは保険ショップに委ねられているのが実情だ。

 こうした点が「手数料の高い保険やキャンペーン中の会社の商品を優先的に販売しているのではないか」と疑いを招く原因となっている。金融審でも複数の委員が指摘した。

 保険の販売といえば従来、生保ならば大手生保の女性営業職員に代表されるように職場や自宅への訪問による販売、損保ならば自動車保険に代表されるように購入した店舗の専属代理店を通じた契約が一般的だった。

 しかし、現在は保険ショップだけでなく、銀行の窓口での販売やインターネット専業保険もある。インターネットでは保険の価格や内容を比較するサイトも多く存在し、顧客の保険に対する考え方も大きく変わってきた。

 コンサルティング力で差別化

 今後、規制が強化されれば、保険ショップは公平や中立を強調するパンフレットや看板、ホームページ上での表記は使えなくなる。

 街中で気軽に相談ができることや、“公平・中立的な立場”を強調することで保険ショップは伸びてきた。公平・中立をうたえないとなれば、今後もこれまで同様に顧客の受け皿となるかは未知数だ。

 「新規出店の一方で、ここ1~2年は閉店する店舗も出てきた」(荒川氏)というように急成長とともに、競争拡大で不採算店舗も出てきている。

 業界第3位の「保険クリニック」を展開するアイリックコーポレーションの勝本竜二社長は「規制強化と競争激化で、保険ショップの業態は転換期を迎える」と予測する。そのため「社員教育に加え、保険を比較できるシステムを活用したコンサルティング力で差別化を図る」と出店数よりも質を重視した経営への転換を目指す。

 変化する顧客ニーズに合致して急成長してきた保険ショップだが、これまでは金融庁による監督の対象外だった。規制強化で監督対象となり、さらに出店数の増加で競争が激化するなど試練の時を迎えることが必至となっている。(永田岳彦)

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