SankeiBiz for mobile

経団連、政権・世論との距離課題 米倉会長「仕上げ」険しく

ニュースカテゴリ:企業の経営

経団連、政権・世論との距離課題 米倉会長「仕上げ」険しく

更新

経団連の定時総会で、あいさつを終えた安倍晋三首相(右)と言葉を交わす米倉弘昌会長=4日、東京都千代田区  経団連の定時総会が4日、東京・大手町の経団連会館で開かれた。原則2期4年の任期最終年を迎えた米倉弘昌会長は開会のあいさつで「成長実現は経済界の責務」と述べ、規制・制度改革、経済連携推進、イノベーション(技術革新)の加速に意欲を示した。来賓として出席した安倍晋三首相も「行動なくして成長なし」と語り、経済再生へ向けた官民協調を訴えた。だが、仕上げの1年に臨む米倉会長には課題も少なくない。

 最も懸念されるのは米倉氏と政権中枢との距離だ。米倉氏は当初、アベノミクスの金融政策を「無鉄砲」と批判。安倍政権は政府の経済財政諮問会議や産業競争力会議などの民間議員選定にあたり、経団連を通さず親交の厚い経済人に官邸が直接就任を要請した。

 安倍首相は楽天の三木谷浩史会長兼社長が率いる新経済連盟(新経連)のイベントで経団連を念頭に「私はオールドエコノミー寄りではない」と発言。米倉氏は成長戦略第2弾を発表する安倍首相の講演会に姿を見せなかった。

 世論との距離をどう埋めるかも重要だ。経団連は御手洗冨士夫前会長時代に会員企業への政治献金斡旋(あっせん)廃止を決め「国民の支持を得る政策提言集団」を掲げた。だが、ネット選挙の解禁を推進した新経連や、新卒の就職期間短縮へ口火を切った経済同友会に比べ、発表される提言が専門的すぎて世間の共感を得られていない。「霞が関や永田町だけを向いている」(有力財界人)との批判すらある。

 米倉氏は3年前の就任時に「経済の活性化」を最重要課題に掲げ、民間経済外交を展開し、原発再稼働などを訴えてきた。近く政府がまとめる成長戦略も企業が実行に移して初めて効果が表れるが、企業の設備投資の動きは鈍い。

 アベノミクスの円安・株高で企業の内部留保は膨らんだはずだが「今までの超円高の教訓から思い切った投資に踏み切る勇気がない」(大手製造業首脳)のが現状だ。

 経済をテコ入れするため、民間企業主導で新技術やシステム開発の実証実験を全国各地で行う米倉氏肝いりの「未来都市モデルプロジェクト」も、実際に成果を上げている事業は数例にすぎない。

 これから1年で失われつつある存在感を取り戻し、政権と両輪で日本経済の復活に役割を果たすことができるのかどうか。米倉経団連を待ち受ける「仕上げの直線コース」は上り坂だ。(早坂礼子)

ランキング