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熟年夫婦のリフォーム需要活況 マンモス世代に住宅業界注目

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熟年夫婦のリフォーム需要活況 マンモス世代に住宅業界注目

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高島屋大阪店に3月オープンした住宅コーナーの主要客は団塊世代を中心とする50~60代だ=大阪市中央区(田村慶子撮影)  住宅業界で50~60代を狙った商品を強化する動きが出てきた。ターゲットは介護が必要な70代以上ではなく、元気な団塊世代を中心とした50~60代の「アクティブシニア」だ。少子化が進み、若者の持ち家志向が低下するなど国内住宅市場の縮小が見込まれる中、50~60代向けにぜいたく感とバリアフリーを兼ね備えたリフォーム提案も登場し始めた。

 セカンドライフを謳歌

 積水ハウスはシニア向けの取り組みとして、子供が結婚などで独立した2人暮らしの熟年夫婦に着目。リフォームや建て替え需要を取り込もうと、夫婦が心地よく過ごせる間取り設計に力を入れている。

 平成22年から提案しているのが、設計コンセプト「間(あわい)」だ。60代の約6割が子供の独立後は2人暮らしになるというアンケートなどから開発につながった。

 同コンセプトでは「招(まねく)」「集(つどう)」「充(みちる)」と、3つのポイントで間取りを提案。隣人や友人と会話を楽しめるよう、土間のようなラウンジを設けたり、趣味に没頭できるスペースを作ったり…。

 「地域交流や自分の時間を積極的に楽しみ、セカンドライフを謳歌する夫婦をイメージした」。積水ハウス住生活研究室の中村孝之部長はこう説明する。

 高島屋大阪店(大阪市中央区)は今年3月、三井ホーム、パナホーム、住友林業の3社と住宅の共同売り場「インテリアステーションHOW‘S(ハウス)」を開設。団塊世代を中心に50~60代の来店客が約半数を占める。

 百貨店と住宅メーカーという異色の組み合わせが脚光を浴びる。新築・リフォームの契約事例では、子供部屋やリビングを改装し、ホームシアター、書斎をつくるケースも。「毎日の生活を活動的に過ごしたいと考える高齢夫婦は多い」という。

 市場を沸かす元気シニア

 高齢者向けというと、「サービス付き高齢者向け住宅」など、介護や医療に重点を置いたものと思われがちだ。だが実際、介護が必要な70代以上は国内人口の2割未満。一方で消費市場を最も牽引(けんいん)しているのは、足腰のしっかりした50~60代の元気世代。人口の約3割を占めるマンモス世代で住宅業界にとっても魅力的なターゲットだ。

 内閣府が、日本や米国など5カ国、各約千人の60歳以上を対象に調査した「平成22年度 高齢者の生活と意識に関する国際比較調査結果」によると、「健康」と回答した高齢者は64・4%と、スウェーデン(68・5%)に次いで多く、ドイツ(33・5%)や韓国(43・2%)を大幅に上回った。「病気がちで寝込むことがある」と答えたのは5・1%と5カ国で最も少ない。まさに日本には元気な「アクティブシニア」があふれているといえる。

 備えは元気なうちに

 元気とはいえ、体が衰える将来を考え始めるのもこの世代の特徴だが、「年寄り臭い家にはしたくない」と考える人たちも多い。

 このため、TOTOは50~60代向けに体力が落ちる将来に備えたリフォームなどを昨年9月から強化。トイレ、洗面所、浴室を1カ所に集めて動線をつなげ、車いす介助を想定して水回り空間の広さも確保する。

 浴室のリフォームも黒やグレー、白を配色して高級感あふれる雰囲気に。浴槽のベンチでは入浴中にひと休みできるほか、足腰が弱まれば、浴槽に入りやすくなるというメリットも。先を見越した設計だ。

 暮らしを楽しみながらも将来に備える。旺盛な消費意欲で市場を潤すシニア向けに、住宅業界の商品・サービスは今後も充実しそうだ。(田村慶子)

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