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ANAのLCC子会社、12月末ごろ運航再開 社名やブランドを一新
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全日本空輸を傘下に持つANAホールディングス(HD)は30日、子会社の格安航空会社(LCC)のエアアジア・ジャパン(千葉県成田市)が10月末で運航を停止し、社名やブランド名を一新して12月末ごろに運航再開すると発表した。マレーシアのLCC大手、エアアジアとの合弁解消に伴う措置。自社主導の立て直しで成果を収められるか、正念場を迎える。
この日、都内で記者会見したANAHDの清水信三上席執行役員は「新たなブランドに生まれ変わって、新たなLCCとして再出発する」と強調した。
エアアジア・ジャパンから衣替えするLCC子会社の社名やブランド名は8月中旬、運航計画や運賃などは9月下旬に発表する。運航中の5機はエアアジアにすべて返却し、再開当初はエアバス2機、来年3月末までに5機体制に拡充する。また、8月1日付で、全日空出身でAIRDO(エア・ドゥ)の営業本部長を経験した石井知祥氏をエアアジア・ジャパン社長に充て、立て直しを陣頭指揮させる。
現在のエアアジア・ジャパンは国内線・国際線を合わせて計9路線を運航しているが、清水上席執行役員は会見で「どの路線がいいか改めて考え直す」と述べ、運航路線についても白紙から見直す考えを示唆した。
関西国際空港を拠点とするLCCのピーチ・アビエーションは持ち分法適用会社だが、エアアジア・ジャパンから衣替えするLCC子会社とは別組織として運営する。
エアアジア・ジャパンは昨年8月に成田空港を拠点に運航を開始。だが、利用客の低迷で収益は伸び悩み、今年6月に合弁解消が決まり、ANAHDはエアアジアが保有するエアアジア・ジャパン株を取得して完全子会社化していた。
合弁解消で意思決定を一本化したことで、今後はANAHD主導のもと、LCC事業をどう立て直すかが問われる。清水上席執行役員は「日本のマーケットに合ったきめ細かい配慮やサービスで浸透し、収入を上げていくことが必要」と語った。
一方、ANAHDが同日発表した2013年4~6月期の連結決算は、最終損益が66億円の赤字(前年同期は6億円の黒字)に転落。ボーイング787型機が5月末まで運航を停止していた影響に加え、円安で燃油費がかさむなどしたことが利益面を下押しした。