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注文住宅、駆け込み需要の反動減懸念 消費増税特例で9月特需
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住宅メーカー各社は消費税増税前の駆け込み動向に振り回されている 来年4月に消費税率が8%に引き上げられるのを前にした駆け込み需要で、大手住宅メーカーの戸建て注文住宅の受注金額が9月に大幅に増加した。積水ハウスは前年同月比74%増と、今年最高の伸び率となった。ただ、10月以降は反動減が見込まれており、各社とも住宅購入を刺激する対策が課題となる。
各社の毎月の受注金額は、住宅ローン金利や住宅価格の先高感、景気回復期待を背景に、今年に入り前年同月を上回って推移。積水ハウス以外でも、9月の受注金額は住友林業が前年同月比65%増、大和ハウス工業も35%増、三井ホーム(賃貸住宅含む)も69%増などだった。
9月に大幅な伸び率を記録したのは、新築注文住宅の引き渡しが消費税率の上がる来年4月以降であっても、今年9月末までに契約を済ませていれば、現行の5%の消費税率の適用が受けられた特例措置の効果が大きい。消費者の間で特例措置の存在が浸透したことで、「ここ数カ月間、建て替えなどを検討してきた消費者が9月末までに決断した」(大手)ことが駆け込み需要を生み出した格好だ。
一方で、10月以降については「多少の反動減が出る可能性がある」(ミサワホーム)との見方が浮上している。今後の需要刺激策が課題となるが、積水ハウスは太陽光発電や燃料電池を搭載した環境配慮型の住宅など、付加価値の高い住宅の提案や販売を強化していく方針だ。
消費税率が3%から5%に引き上げられた1997年度の新設住宅着工戸数は約134万戸と、前年度から17.7%減少。続く98年度も前年度比12.1%減となるなど、住宅メーカーは大幅な反動減に振り回された経験がある。
ただ今回は、消費増税後に購入者の負担を軽減するため、住宅ローン減税の拡充などを行う方針で、年収などによっては増税後に買った方が有利な場合もある。加えて、2020年の東京五輪開催が決まるなど、今後も安倍晋三政権の経済政策「アベノミクス」を背景とした景況感の改善が続くと見る向きが多く、前回の消費税増税時のような大幅な反動減はないとの見方が多い。