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医療コンサル、海外展開で存在感 日本勢、政府支援で巻き返しに懸命

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医療コンサル、海外展開で存在感 日本勢、政府支援で巻き返しに懸命

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医療機器の輸出入金額の推移  成長戦略の柱の一つとなる医療の海外展開で、医療コンサルタントの存在感が増している。関係メーカーと病院を橋渡しし、日本式医療システムをパッケージで売り込む役目を担う。すでに新興経済国の市場では、欧米や韓国企業が拠点を整備し、現地のニーズにあったサービスを展開している。出遅れ感のある日本勢は、政府の支援を受けながら巻き返しに懸命だ。

 診療パッケージ構築

 昨年10月上旬、最高気温30度近い暑さが続くミャンマー。日本で医療機関などへの経営コンサルティングを行う「メディヴァ」(東京都世田谷区)の大石佳能子社長らは、現地の保健相や民間医療機関関係者らと相次いで面会した。ミャンマーの女性のがん罹患(りかん)率1位は乳がんだが、国レベルの乳がん検診は行われていない。ある国立病院関係者は「子宮がんの検診は行っているが、乳がんの検診も実施したい」と大石社長に訴えた。

 約10カ月後。メディヴァ、亀田メディカルセンター、岡山大学病院、富士フイルムなどとミャンマー保健省は、現地の国立病院での乳がん検診事業について基本合意した。

 10月から3カ月間、ミャンマーから医師や技師の計3人を日本に招き、岡山大学病院など3施設で日本式の乳がん検診・治療の研修を実施。12月から、ミャンマーの国立病院でマンモグラフィーを導入した検診の実証プログラムを始める。事業の狙いは、乳がんの知識の啓蒙(けいもう)と検診、治療を合わせた診療パッケージを構築することだ。大石社長は「日本医療の地位向上を目指したい」と意気込む。

 業界トップのアイテック(東京都中央区)は、イラクで医師らの訓練施設を計画する。治安の問題などのリスクもあるが「イラクの医師を日本で受け入れたり、日本メーカーが商談したりする“出店”的なものにしたい」(関丈太郎常務)。

 日本の医学は国際的に高いレベルにあるが、医療機器の輸出は伸び悩んでおり、2012年は6983億円の輸入超だった。

 欧米や韓国に対抗

 一方、欧米や韓国の医療メーカーはアジアや中東などの新興国でしのぎを削る。医療機器大手の米メドトロニックや独シーメンスは中国・上海に開発・製造拠点をそれぞれ設立。現地で病院を建設し、難病患者の治療は本国で受け入れる「病院丸ごと輸出」型の戦略を展開。韓国のサムスン・グループはアラブ首長国連邦(UAE)などに医療施設を設立し、自社機器の売り込みや医師らの研修を行う。

 「遅すぎる」。一昨年10月、一般社団法人メディカルエクセレンスジャパン(MEJ、東京都千代田区)の北野選也理事がUAE・アブダビ首長国の医療事情を視察した際、保健当局の幹部はこう言い放った。

 当時、米国や韓国のコンサルタントが、受注競争を繰り広げていた。「何がお困りですか」と聴く北野理事に対し、この幹部は「何をしに来たのか」といらだちを見せたのだ。

 だが、北野理事は「重粒子線がん治療装置や内視鏡などの医療機器にニーズがある」として、12月中旬に日本の医師をアブダビの王立病院に派遣、今後の協力のあり方を探る考えだ。

 MEJは4月に改組され、政府の海外展開を進める中核組織としての期待が高まる。経済産業省幹部は「医療機器を売るだけでは日本経済の成長に結びつかない。医療システム全体をアピールする視点が必要だ」と話す。日本式医療が海外で浸透すれば、診断機器や薬剤、医療資材などの周辺産業にも大きなチャンスが訪れる。(鈴木正行)

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