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日本企業、ASEANは収益の屋台骨 成長市場へ進出加速
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ダイハツ工業が昨年末に稼働させたインドネシア第2工場。ASEANでは日本車が人気で、シェアは80%に達する 東南アジア諸国連合(ASEAN)各国への日本企業の進出が加速している。中間所得層の増加を背景にした世界有数の成長市場であるASEAN域内には多くの日本企業が長年にわたり先行投資を続けてきた。その成果が表われ始めている。
「日本とタイの経済的関係はさらなる拡大が期待される」。タイのニワットタムロン商務相は13日、東京・代官山のタイの物産展示館で、経済協力が今後も強まると強調した。
国際協力銀行が日本の製造業を対象に実施した調査によると、今後3年程度の投資有望国・地域(複数回答)の首位にはインドネシアが選ばれ、ブルネイを除くASEAN9カ国が20位以内に入った。人件費の上昇や日中関係などが不安視された中国は首位から4位に後退した。
「ASEANは収益の屋台骨」。三菱自動車の益子修社長は先月の記者会見で、2016年度までの中期経営計画にふれ、こう強調した。主力のタイ、インドネシアに加え、フィリピンにも新工場を作る見通しで、中計の最終年度は、約3割の販売をASEANでたたき出す考えだ。
日本の自動車業界は、長らくASEAN各国に投資を続け、域内の日本車シェアは80%と他国を圧倒。「今後も主導権を握って展開できる市場」(ダイハツ工業幹部)と期待は大きい。ホンダも来年1月、インドネシアに第2工場を立ち上げ、生産能力を約3倍に拡大する。トヨタ自動車も、ASEANを重要市場に位置づける。
ニコンはタイでのデジタルカメラ生産に加え、今年10月にはラオスの新設工場が操業を開始。複写機メーカーの富士ゼロックスもベトナムに新工場を建設、11月から稼働を開始した。同社は「ベトナムは産業化が進み、各国への輸送網も整っている」と説明する。
小売りもASEANへのシフトを活発化している。衣料品のSPA(製造小売り)を進めるイトーヨーカ堂は、生産拠点をミャンマーやベトナムなどに移し、16年2月期には中国の生産比率を現在の45%から3割に下げる。高島屋はシンガポールでの事業が好調で、中間決算では27%の営業増益を確保した。
日本通運は13日、タイの首都バンコクとマレーシアの首都クアラルンプール間(約1800キロ)で需要が高まっている鉄道輸送サービスを始めると発表した。まずは日系メーカーなどを対象に自動車部品を中心とした輸送で定期運行を始める。
また、セルフ式うどんチェーン「丸亀製麺」を展開するトリドールも「切り込む際の足がかりにしたい」として、タイで同店のフランチャイズを展開する企業に出資した。
一方、ASEAN域内での事業には課題も多い。日本貿易振興機構(ジェトロ)の調査によると、タイやベトナムに加え、インドネシアなど6カ国も賃金上昇率が13年に続き2桁に上り、経営上の課題になっている。ニコンがタイでのデジタルカメラ生産工程の一部を賃金の低いラオスに移管するなどASEAN域内での最適地生産の見直しも始まった。工作機械などでどれだけ省力化できるかが鍵を握る。