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今年で関空20周年、新たな出発点へ 海外旅行者の玄関口として存在感

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今年で関空20周年、新たな出発点へ 海外旅行者の玄関口として存在感

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 「関空(かんくう)」の略称で親しまれる関西国際空港が今年9月4日で開港20周年を迎える。最近では格安航空会社(LCC)が参入して、航空業界の競争が激しくなったことで、20年前と比べて航空運賃は大幅に値下がりし、飛行機を利用しやすくなった。開港当時は、国内のビジネス客や観光客がメーンの利用者だった関空だが、今や東南アジアや中国、台湾などの海外からの旅行客を受け入れる玄関口としての存在感も高めている。

 冬の関空-。午前7時過ぎ、第2ターミナルに並ぶLCCのピーチ・アビエーションの機体尾翼を、葛城(かつらぎ)山から昇る朝日が照らした。早朝はLCCの出発のピーク。滑走路を抜けた機体が次々と飛び立っていった。

 ピーチは平成24年3月に関空を拠点にして就航。成田や那覇など国内9路線、国際5路線を運航する。1月18日には、関空と台湾・高雄を結ぶ路線が開設される。台湾からは台北(桃園)に続き2路線目。関空-高雄便は日本の航空会社では初めてだ。

 関空が開港した平成6年は、バブル崩壊による景気悪化が鮮明化。失われた10年、20年といわれる日本経済の長期低迷の入り口に立ったときだったが、ようやく明るさがみえてきた。

 関空開港で記念フライトをした超音速旅客機「コンコルド」。2003年に引退したが、日本の最終フライト地は関空だった

 牽引(けんいん)役になっているのは海外からの観光客だ。強みはまずその立地。観光業界では、到着した空港から、鉄道やバスで2時間程度で行ける圏内が観光客の主な移動範囲といわれる。

 関空を拠点にすれば、京都や奈良といった日本を代表する観光地のほか、古来の霊場として注目を集める高野(こうや)山、海岸景勝地と温泉が人気の南紀白浜もそのエリアに入る。

 「和食」がユネスコの無形文化遺産に登録されることが決まり、日本文化への関心が一段と高まる中、近畿への観光客が増える可能性も出てきた。

 今年3月からは、開港以来の大規模改修に乗り出す。国際線出発エリアの2カ所にそれぞれ、約500平方メートルの大型免税店を新設。免税店エリアを現在の1・4倍に広げ、外国人旅行者向けに家電製品売り場を充実させる。

 空港としての魅力を高め、関空から再び帰国してもらえるルートを作るのが狙いだ。9月に一部を先行開業し、27年3月末までに全面オープンさせる計画。開業から20年になる関空は新たな出発点に立つ。

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