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マルチ・スズキ、工場建設で紛糾 受託生産に計画変更…株主が反発
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インドの自動車最大手マルチ・スズキの工場建設計画をめぐり、波紋が広がっている。同社は総工費4億8800万ドル(約500億円)の新工場を西部グジャラート州に建設する予定だったが計画を変更。今年1月に親会社のスズキの全額出資による新会社が工場建設を担当し、完成後もこの新会社がマルチ・スズキの車両を受託生産すると発表した。これに対し、マルチ・スズキの株主が反発し、計画変更の撤回を求めている。現地紙タイムズ・オブ・インディアなどが報じた。
計画変更に反対しているのは、地場資産運用大手HDFCアセット・マネジメントや地場保険大手リライアンス・ライフなど16の株主グループで、マルチ・スズキの株式を合計約5%保有している。株式の約7%を保有する地場保険最大手の生命保険公社もこうした動きに同調する構えをみせるなど、反発は強まりつつある。
スズキ、マルチ・スズキの両社は計画変更について、景気後退によるインド自動車市場の低迷を受けた措置だと説明している。マルチ・スズキの設備投資負担を取り除き、資金や人材などを販売に集中させるためとの考えだ。
しかし、株主グループは、マルチ・スズキが自動車メーカーの業務の中核である生産活動を外部に委託することで、同社がメーカーではなく単なる販売会社になってしまうと主張。メーカーとしての根幹を新会社に奪われると警戒を強めている。
マルチ・スズキは現在、売り上げの5.7%をロイヤルティーとしてスズキに支払っているが、株主グループは生産委託でこのロイヤルティーが上昇する可能性があると指摘。マルチ・スズキに宛てた書簡で「グジャラート工場建設を自社で行うことが唯一、公平で説得力のある道だ」と訴えた。
こうした声に対してマルチ・スズキは、事前分析で自社や株主の利益になるとの結論を得たうえでの計画変更だと主張する。同社のマルガバ会長は「根拠に乏しい投資家の不平で判断を変えるつもりはない」と述べ、強気の姿勢を示した。
現地紙フィナンシャル・エクスプレスなどによると、今年10月施行予定の新会社法で関連当事者間の取引には少数株主の同意が必要との条項があることから、インド証券取引委員会も今回の計画変更に注目しているもようだ。
マルチ・スズキは今年2月の販売台数(輸出含む)が前年同月比0.4%減の10万9104台にとどまり、4カ月連続の前年割れとなった。苦しい販売状況が続くなか、新工場問題は新たな悩みの種となりそうだ。(シンガポール支局)