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「ファストファッションでは満足できない」 “大人女子”ブランドが活発な理由

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「ファストファッションでは満足できない」 “大人女子”ブランドが活発な理由

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ローブが今秋冬から展開する新ブランド「イプセ」  海外の低価格ファッションに押され気味だった婦人服市場に、かつて109系など若者向けファッションの洗礼を受けた“大人”の女子向け国内ブランドが相次ぎ登場している。

 流行を取り入れつつ価格を抑えた「ファストファッション」のブームに乗ったものの、品質に満足できなくなった層だ。海外ブランドにひけをとらない上質さや素材感、仕立ての良さを備え、手の届く価格を強みに、新たな需要創出を狙う。

 買い回り促す

 阪急百貨店梅田本店(大阪市北区)4階に一昨年新設された売り場「うめはんジェンヌ」は、若いキャリア女性に人気のブランドが並ぶ。学生時代に、10代後半から20代前半の若年層を狙った東京発ファッション「SHIBUYA109」系を経験した世代がターゲットだ。

 「百貨店で衣料品を買っていなかった30歳前後の消費行動に対応した売り場」と婦人服第一商品部長の武藤千香子氏は話す。

 話題のブランドはバロックジャパンリミテッドが展開する「エンフォルド」だ。厳選した素材と着心地の良さ、シンプルで上品なデザインが支持され、平成24年春のデビューから年々人気が上昇。今秋冬には早くも海外進出を果たす。

 「ルシェルブルー」「ナイン」なども人気が高い。海外高級ブランドと組み合わせても遜色のないデザインと品質を備え、リーズナブル。「別の階で海外ブランドを購入されるお客さまの買い回りが多い」(武藤氏)という。

 価格以外の価値

 同百貨店に今年2月オープンした「アストラット」も大人向け新ブランド。手がけるのは大手セレクトショップ、ユナイテッドアローズだ。

 コンセプトは、選択眼を持ち、精神的に成熟した大人が着られる「モード服」。モードとは「流行」の意味で、デザイナーブランドに代表される最先端のファッションを指す。

 モード服を得意とするクリエイティブディレクター、東谷太氏との協業で今春スタート。名古屋、東京・南青山にも出店している。ユナイテットアローズ8店舗でも販売し、売り上げは目標の250%をはじき出している。

 「大人のモード服」について、同社第一SBU本部の本部長、田中和安氏は未開拓市場だと説明。「モード服は欧米などでは定着しているが、日本ではなかなか根付かなかった。景況感が回復しても日本の市場には低価格品があふれている。高級ブランドほど高くなく、価格以外の価値を感じられる服に可能性を感じた」という。

 将来の主力事業を育てる狙いもある。同社は自店のオリジナル商品を展開することはあっても、ブランドを一から手がけるのは初めて。競合するセレクトショップにも卸し、世界に通用するブランドを目指す。「認知度を高めることも大切だ。時間をかけて広め、100億円規模に育てていきたい」と意気込む。

 有望だが未知数 

 大人女子向けブランドが活発な背景には、国内アパレルが抱える課題もある。109系で育った世代が大人になり受け皿になるブランドが求められていること、全国展開する大手アパレルのブランドがライバルが多い都心で通用しなくなったこと-などだ。

 有望市場だけに中小アパレルの参入も多い。大阪のレディスアパレル「ローブ」は今秋冬から新ブランド「イプセ」をスタート。セレクトショップ出身のデザイナーがフォルムや細部にこだわるものづくりで市場開拓を狙う。

 ただ「流行に乗りやすいヤングと異なり、自分のスタイルを持つ客層がターゲットだ。大きなブームを期待するのは危険」と武藤氏。市場がどこまで広がるかは未知数だが、大人女子という新たな可能性にかける国内アパレルの挑戦が始まっている。(ライター 橋長初代)

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