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キリン、ヤッホーブルーイングと提携 クラフトビール、製造・販売で協力
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記者会見で「よなよなエール」を手にするキリンの磯崎社長(右)とヤッホーの井手社長=24日、東京都千代田区 キリンビールは24日、クラフトビール最大手のヤッホーブルーイング(長野県軽井沢町)と資本業務提携し、十数億円を出資すると発表した。国内大手とクラフトメーカーの本格提携は初めて。少量生産で素材などにこだわるクラフトビールは若者を中心に人気が高く、両社は製造や販売で協力し、縮小が続くビール市場の活性化を目指す。
ヤッホーは高級旅館などを展開する星野リゾート(同町)の完全子会社で、1996年設立。看板商品「よなよなエール」などを展開し、売上高はここ5年間で3倍に拡大している。
販売が急増したことから、ヤッホーが複数の大手ビールに生産委託を打診する中、クラフトビールの強化を目指すキリンとの提携話が進展したという。
キリンは星野から株式を取得し、第三者割当増資も引き受けて計33.4%を保有する第2位の株主となる。来年から滋賀工場などで製造を受託し、原料調達や物流、商品開発などで協業。独自性を重視して役員は派遣しないが、人事交流を通じて若者へのアピール力が強いヤッホーのマーケティング手法を取り込みたい考えだ。
都内で会見したキリンの磯崎功典社長は「『同じ味ばかりでつまらない』という消費者の不満が目立ってきた」と述べ、個性的な味を展開するクラフトメーカーとの提携を広げる考えを示した。
ヤッホーの井手直行社長は「増産の投資分を充て、商品開発などに集中できる」と提携のメリットを強調した。
キリンがクラフトビールを強化するのは、多額の宣伝費も投じる従来型のビールの需要が、高齢化や嗜好(しこう)の多様化で先細ることへの危機感が背景にある。
ビール類の国内出荷数量は昨年までの9年間で約13%減少。一方、クラフトビールは推計で年率2桁の伸びを続けている。市場全体に占める割合は0.5%程度と小さいものの、高単価で利益率が高く、今後の成長が見込める有力分野といえる。
実際、米国ではクラフトビールの売上高が昨年はビール全体の14%超を占め、販売量は10年間で3倍になった。「バドワイザー」ブランドを持つ世界最大手アンハイザー・ブッシュ・インベブなどが中小クラフトメーカーの買収を競っている。
キリンは今年上期(1~6月)に大手で唯一シェアを減らすなど苦戦が続いているが、近年の高級ビール人気と一線を画す一方、クラフト分野で先行して収益増につなげたい考えだ。