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まるで本物みたい!広がる3Dプリンタービジネス 課題は人材不足
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3Dプリンターを活用して作られた本人そっくりの立体お面=大津市のREAL-f データを基に立体の造形物をつくる「3Dプリンター」を活用したビジネスが盛り上がりをみせている。本人そっくりの立体的なお面やフィギュアといったユーモラスな商品から、医療、住宅分野など多岐にわたって用途が拡大。ただ、装置を使いこなせる人材の不足がネックとなり、産業界に広く浸透していくのはまだこれからのようだ。(板東和正)
「肌のつや、しわ、目(め)力(ぢから)まで本人そっくりだ…」
大津市のベンチャー企業、REAL-f(リアルエフ)が作った精巧なお面を目にすると、誰もがギョッとする。同社は平成23年11月から、3Dプリンターに独自の転写技術を組み合わせて人の顔を立体的に再現するお面のオーダーメードを受注している。
製作方法は複数あるが、写真から2~3週間で完成させる場合、まず依頼者の写真を3次元化したデータを3Dプリンターで出力し、樹脂で「型」を作る。その型に独自技術で顔写真を転写し、しわやほくろなど細部まで再現。目の部分には透明な樹脂を入れて水晶体を表し、奥行きのある瞳を作り出す。
同社の北川修社長は「顔から直接、型を取らなくても写真データだけで立体物を作れるようになった」と3Dプリンターの利点を説明する。お面は一個30万~42万円(税別)と値は張るが、芸能事務所や広告代理店からCMや映画、コンサートなどで使いたいとの依頼が相次いでいるという。
経済産業省は32年に3Dプリンターの市場規模が1兆円に達すると試算。手軽に印刷するような感覚で複雑な立体物を作れるため、製造業関係者からは「魔法の箱」と呼ばれるほど支持を集める。米航空宇宙局(NASA)が部品などを宇宙空間で作る可能性を探るため、微小重力で作動できる3Dプリンターを国際宇宙ステーションに打ち上げるといった最先端の活用もみられ始めた。
日本でも、医療や製造業などきめ細かさが求められる現場で採用される例も多い。仙台市のソフト会社、コンピュータシステム研究所は工務店などの依頼で、ミニチュアサイズの住宅模型を3Dプリンターで製作。図面やカタログに加え、顧客に新築の一戸建てのイメージを効果的に伝えられると好評だという。
ただ、中小企業の経営者からは「利用方法が分かる人材がいない」「装置の価格は高額だ」との声も聞かれ、産業界全体では3Dプリンターの利用はまだ広がっていない。
大阪商工会議所が7月に発表した調査でも、中堅・中小の製造業のうち「既に活用している」との答えは1割にも満たなかった。技術情報を積極的に共有するなどして利用を拡大し、経済成長につなげることが求められる。