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「光卸」NTT東西で異なる競争戦略 収益改善へ次の一手は?

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「光卸」NTT東西で異なる競争戦略 収益改善へ次の一手は?

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NTT東日本・山村雅之社長  NTT東西地域会社が光回線によるインターネット接続サービス「フレッツ光」を2月から企業向けに「光サービス卸」として開放し低価格な光サービスが相次ぎ登場。NTT東西は光サービス卸の開始を機に経営資源の再配置で法人向け営業を強化するなど収益改善を狙う。

 しかし、光回線卸料金が1本当たり月額3500円(戸建て)と全国一律のため、東西で異なる競争環境に対応しにくい状況となっている。光サービスの需要が鈍化傾向にある東日本と、電力系通信事業者などとの競争が激しく需要も伸びている西日本では光サービスの市場価格が大きく違うためだ。

 インターネット接続料を含めた光サービス料金は、東日本地域では月額5000~6000円が一般的だが、西日本地域では4000円台。関西電力系のケイ・オプティコムは初年度3000円のキャンペーンを実施するなど熾烈(しれつ)な価格競争が繰り広げられている。

 卸料金が3500円ではネット接続料を加えて4000円台で利益を確保するのは厳しく「提携企業が困る」(NTT西日本の村尾和俊社長)状況だ。

 3月1日からは大手携帯電話事業者のNTTドコモとソフトバンクもサービスを開始。国内シェアが7割を超えるフレッツ光の顧客争奪戦が本格化するが、取り巻く市況の違いに対応した価格の弾力化が必要となりそうだ。

 □NTT東日本・山村雅之社長

 ■新規開拓へ中小向けサービス充実

 --光サービス卸は事業体制を大きく変える

 「事業開始時はほぼ直接営業だったが、今は7割が代理店。個人向けは卸に移って、中小企業への移行が加速するが、事業形態が変わるわけではない」

 --世帯当たり5万円ともいわれた販売報奨金の負担が軽減される

 「1件当たり3万5000円から4万円払っていたが、年間180万件開通しても純増が30万件では元は取れない。卸のスタート時は営業費用削減効果が出るが、2~3年たつとARPU(1人当たり月間収入)の減少で苦しくなる。コスト削減によって体質強化を急ぐ」

 --要員の再配置も必要だ

 「営業のなかに、いままで行けなかった顧客を開発する部隊を作る。24時間保守など中小企業向けの付加価値サービスも充実させていく。卸向けに受付部隊の拡充を急ぐ。3月1日には大変な申し込みが来る。4月以降には市場の変化が見えてくるので、次のステップをどうするか考えていく」

 □NTT西日本・村尾和俊社長

 ■相談部隊編成し積極的に契約獲得

 --異業種との提携を推進する「スマート光戦略」を展開しているが、光サービス卸との位置づけは

 「自前主義を捨ててアライアンス(企業の提携)で新しいサービスを作り、新たな価値を提供するのが『スマート光戦略』だ。光回線とICT(情報通信技術)を組み合わせて、介護事業者や自治体などとの協業事例がある。光サービス卸もスマート光戦略のツールとなる」

 --光サービス卸の反響は

 「サービス開始で先行しているのは通信事業者だが、異業種が新たに事業を始めるのは時間がかかる。今夏に向けて相談部隊を編成して働きかけていく。首都圏と違って、関西ではじっとしていては契約を取れない」

 --西日本地域では光サービスの価格競争が激しい

 「価格競争はものすごく利益率も厳しい。光サービス卸は全国一律料金だが、東日本と同じでは戦えないし、提携先も困ることになる。すぐにではなくても、卸料金の低廉化が進んでいくと思う」

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