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“一人負け”ドコモ、「光」で巻き返し ライバル2社と本格競争火蓋

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“一人負け”ドコモ、「光」で巻き返し ライバル2社と本格競争火蓋

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NTTドコモとソフトバンクも光サービスの提供を始め、先行するKDDIなどとの競争が本格化した=2日午後、東京都新宿区の「ビックロビックカメラ」新宿東口店  NTTドコモとソフトバンクが3月から自社ブランドでの光回線サービスに乗りだし、光と携帯電話の契約を組み合わせる「セット割引」で先行していたKDDIとの本格的な競争が始まった。シェア競争で「一人負け」が続くドコモが、光回線を提供するNTT東日本・西日本の約1900万件の契約者をどこまで取り込めるかが焦点だ。

 「固定(光)回線の提供によって、ドコモのサービスが家庭の中にまで入り込む。生活全般のサポート企業を目指したい」

 「ドコモ光」の予約受け付けが始まった2月中旬、フジサンケイビジネスアイのインタビューに応じたドコモの加藤薫社長は新サービスへの意気込みをアピールした。

 「生活サポート」の方針はセット割引の仕組みに現れている。KDDIとソフトバンクが携帯の契約回線ごとに料金を割り引くのに対し、ドコモは世帯ごとの携帯のデータ通信量に応じて割引額を増やす体系とし、家族全体の取り込みを狙う。

 13年前に60%近くを占めていたドコモのシェアは、米アップルの人気スマートフォン「アイフォーン」の販売に出遅れたことなどで、首位とはいえ約45%(2014年末時点)まで低下。顧客流出を食い止めるため昨年導入した通話料定額プランは料金収入減を招き、15年3月期は2期連続の減収減益を見込む。

 「はっきり言ってわれわれはドベ(最下位)」と危機感を募らせる加藤社長の切り札が、今回のドコモ光だ。NTTグループに対する規制でドコモのセット割引は従来は事実上認められてこなかった。だが、グループ以外の通信会社などにも光回線を開放することで実現した。

 光回線の企業向け卸によって、NTT東西が自社で販売してきた「フレッツ光」の契約者は今後1年間で他社サービスに500万件移動する見通し。顧客獲得のチャンスを狙うのは携帯大手だけでない。インターネット接続事業者や「格安スマホ」の事業者も割安な料金プランを設けて売り込みに躍起だ。

 KDDIも割引額を拡大して対抗する。ドコモが切り札を生かし、もくろみ通りに収益を伸ばせるかは不透明な面もある。

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