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【3D拳銃】3Dプリンターは諸刃の剣 「産業革命」も多様化する悪用 法規制求める声も

ニュースカテゴリ:社会の事件・不祥事

【3D拳銃】3Dプリンターは諸刃の剣 「産業革命」も多様化する悪用 法規制求める声も

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居村佳知容疑者宅から押収された、銃を製造した3Dプリンター=8日、神奈川県警神奈川署(岩崎雅子撮影)  神奈川県警が摘発した銃刀法違反事件で、一躍注目を集めた3D(3次元)プリンター。拳銃製造に悪用されたが、産業界では「21世紀の産業革命をもたらす」と期待される技術だ。市場は米国メーカーが圧倒しているが、30年以上前に源流となる技術を発明したのは日本人研究者だった。高まる期待の半面、犯罪への悪用も懸念されており、専門家からは法規制の必要性を訴える声も出ている。

日本人が発明

 3Dプリンターは3次元のデータを基に複雑な立体を作製できる装置。樹脂を塗り重ねる製法や、光で固める光造形法などがある。光造形の技術を昭和55年に世界で初めて発明して特許を取ったのは名古屋市の弁理士、小玉秀男さん(63)だった。名古屋大学大学院修士課程を修了後、市工業研究所に入り、光を当てると固まる樹脂などを目にして、3Dプリンターの発想がひらめいた。

 だが国内では製品化に至らず、その後、米研究者も発明。米国では製品化が進み、市場は現在、米大手2社が世界シェアの大半を握る。造形方法で多くの特許を持ち、米政権も後押ししているためだ。米調査会社は2021年の世界市場規模が12年と比べ約5倍の約1兆円に達すると見通す。

 日本でも大手製造業や医療などの最先端分野での活用が急速に進んでおり、安倍晋三政権の成長戦略でも3Dプリンターへの投資支援が掲げられた。

個人レベルに

 小玉さんは今回の事件について「拳銃まで作られるとは想像しなかった。利用者が個人レベルにまで広がったことで、使い道のコントロールが難しくなっているのではないか」と話す。

 犯罪への悪用は多様化している。情報セキュリティー会社「トレンドマイクロ」(東京)は今年3月、サイバー犯罪集団がネット上で販売しているスキミング(カード情報などを不正に盗み取る行為)用の機械の製造に3Dプリンターが使われている可能性があると発表した。また他人の鍵のスペアを作って空き巣などに使われる可能性があるほか、キャラクター商品などの複製の懸念もある。

 「3D先進国」で銃社会の米国でも近年、ネット上で樹脂製の「3Dプリンター拳銃」の試射映像が流れていたほか、テキサス州の企業が昨年、市販品の拳銃のコピーを金属で初めて製作し、実弾を発射することに成功したと発表するなど問題視されていた。

新しい法規制が必要

 今回の事件は懸念されていた事態が国内でも現実となった形だ。古屋圭司国家公安委員長は9日、「新たな形態の犯罪。現行法で十分対応できているかというと、必ずしもそうではない部分があると思う」と述べ、法制上の問題がないか検討する必要があるとの認識を示した。

 銃犯罪に詳しい立正大の小宮信夫教授(犯罪学)は「これまでは銃を輸入させないなどの水際作戦もできたが、設計図などのデータは遮断することができず、3Dプリンターで簡単に作れてしまう。大量生産される危険性もあり、完成前の法規制も考えるべきだ」と訴える。一般社団法人「3Dデータを活用する会」(東京)の相馬達也代表理事は「プリンター自体に罪はなく、拳銃の設計図をネットにアップロードした行為を取り締まるべきではないか」と指摘した。

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