【AI新時代】膨大な学習履歴から個別に最適化する教育分野 立ちはだかるAIの“苦手分野”とは?
更新自ら学習するAIが日常生活に溶け込み、人々の生活を変え始めた。その代表例が教育分野だ。膨大な学習履歴を分析して一人一人に最適な内容を選ぶ学習方法が広がる。
東京都世田谷区のビルの一室。昨年10月、AI型学習システム「Qubena(キュビナ)」を使う中学生向け数学専門塾が開講した。先生が教壇に立って教える一斉授業と違い、生徒はタブレットの画面上に次々表示される問題を解いていく。中学2年の女子生徒は「学校の授業はゆっくりで、集中力が途切れて友達としゃべってしまう。ここでは自分のペースで進められる」と話す。
キュビナは生徒の解答のほか、画面に手書きされた思考過程や要した時間も蓄積し、得手不得手を解析して苦手克服につながる問題を出す。例えば、一次関数の式を求める問題の計算途中で「方程式の割り算」のミスをすると、AIが「方程式の割り算」の問題に誘導する。
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一人一人に最適化されるこうした学習方法は「アダプティブ・ラーニング」と呼ばれる。先行する「すららネット」(千代田区)のサービスは、私立学校や塾で計約3万3千人が利用し、低学力層の底上げ効果で注目されている。


