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「就活=婚約」の実態 将来のパートナーを数ヶ月で選ぶ難しさ
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「就活=婚活」。
就職活動を始めたばかりの就活生に、就職活動を分かりやすく理解してもらうために、よく使われる例え話です。実際、就職すれば、1日の3分の1以上を会社で過ごし、その会社と40年以上お付き合いしていく可能性があるわけですから、あながち、間違いではない例え話だと思います。
では、仮にそうだとしたとき、その相手である会社を、最近の就活生はどの様に選んでいるのでしょうか。
近年の就職活動は、まずリクナビやマイナビといわれる、企業の情報が掲載されている就活サイトに登録することから始めます。そこには、数千社にも及ぶ企業の採用情報が掲載されています。新卒採用を実施する企業のほとんどは、このサイトに登録されていると言っても過言ではありません。就活生は、その中から、興味の持てる会社を見つけ、意思表示します。そうすると、企業から説明会や、筆記試験など選考の案内が順に届くわけです。
就活サイトを利用しての就職活動を経験されていない世代の方々からすると、「なんて就職活動がしやすい時代なんだ、自分に合う会社を見つけやすいじゃないか」と言った声が聞こえてきそうですが、実は、この選択肢が広がったことが、逆に、今の就活生には悪影響を及ぼしているのです。
というのも、今の就活生は、あまりにも多い選択肢の中から何を基準に就職先を決めればいいのか分からず、悩んでいるのです。実際、「内定塾」の塾生の9割が、それを理由に入塾しています。
では、近年の就活生はどの様に就職先を決めているのでしょうか。
「内定塾」の塾生に関しては、「就職先を選ぶ自分の基準」を明確にしてから、就職活動に挑むようにしてもらっています。
冒頭で「就活=婚活」と書きましたが、あえて、近年の就活を、婚活に例えて説明させてもらいます。その方が、近年の就活生の就職先選びの異様さが実感できるかと思うからです。
まず、婚活サイトに登録します。登録したら、将来のパートナー候補を、写真とプロフィル(本人により登録されている)から複数選択、結婚を視野に入れた真剣交際希望と意思表示します。その後、婚活サイト運営会社が開催するイベントに参加し、パートナー候補群の話を聞きます。よければ、その後、真剣交際希望である(直接会って話したいとの)旨を、候補群に定型文レターで送ります。もちろん、全員にその機会が与えられるわけではありません。運がよければ、15分から30分程度の話す機会がもらえます。それを、2、3回経て、パートナー候補が好意を抱いてくれれば、晴れて婚約となるわけです。
これだけをみると、そこまでおかしいとは思わないかもしれませんが、就活生は、今後の人生を大きく左右するこの活動を、わずか3カ月から、5カ月もの短い期間、しかも、失敗が許されない(来年はない)中で、進めるのです。
そういったプレッシャーによる焦りからか、多くの就活生は、頭も体も動かなくなり、今後の人生における重要な意思決定をするために集めなければならないさまざまな情報、例えば、OBOG訪問によって得られる情報などを自ら集めることをあきらめ、おぜん立てされた安直で、低コストの情報源から、自分の就職先を決めてしまうのです。それでよしとする就活生が多くいるのは、結局のところ、自分なりの判断基準が確立していない(どの様な情報が自分にとって必要なのかが分かっていない)事が問題です。
今後の人生を決める、就職活動。
就職活動の開始時期や仕組み自体をすぐに変えることは厳しいので、就職活動生の皆さんには、ぜひとも、周りに流されず、社会通念に惑わされず、自分なりの“ものさし”で就活先を決めていってほしいものです。(内定塾東京校責任者、髙嶌悠人)