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【書評】『憲法改正がなぜ必要か 「革命」を続ける日本国憲法の正体』

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【書評】『憲法改正がなぜ必要か 「革命」を続ける日本国憲法の正体』

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『憲法改正がなぜ必要か』八木秀次著  「国柄」明らかにするために

 戦後の国際社会は、ポツダム体制、冷戦体制、そして現在の多極化体制と大きく変化してきた。本書における護憲論批判はこのような国際社会の変化を視野に入れたもので、風通しがよく説得力をもっている。

 しかし、本書の主眼点はここにあるわけではない。本書においては、これまで主張されることのなかった、新たな視点が呈示されている。

 日本国憲法の前文は、世界に例をみることのできない特異なものである。世界の国々は、その憲法の前文において、国家の自画像を描いている。古い国であればあるほど、神話や伝説などの文学的表現で、国の成り立ち、由来を誇らかに語っている。

 日本国憲法の前文においても、国の自画像が描かれているが、その内容が問題である。日本の歴史は、もっぱら否定的に描かれている。戦争の責任が一方的に日本にある旨が示唆されている。これが事実に反することは明らかである。さらに問題なのは、日本という国家の成り立ちが、千数百年の歴史から切り離された形で描かれていることである。

 占領軍がこのような、世界において「異例中の異例」というべき前文を設けたのは、たまたまのことではない。占領初期の日本弱体化政策による、意図的なものとみるべきである。占領軍のこの政策は、大きな成功を収めた。国益を語り、愛国心、国防義務を語ることについて、これをタブーとする風潮が今なお続いている。これが、前文における国家像の影響であることは明らかである。

 憲法前文は、現在においても、日本の解体を促進する役割を果たしつつある。この点について、本書は豊富な具体例をもって詳述する。憲法改正にさいしては、なによりもまず、憲法前文を改正して、「歴史的存在としての日本」をとりもどす必要がある。憲法において「日本の国柄」を明らかにする必要がある。

 本書は広く大きな問題をテーマとするが、文章は軽快であり、論旨は明解である。単行書を一気に通読したのは久しぶりのことである。(八木秀次著/PHPパブリッシング・1365円)

 評・長尾一紘(中央大名誉教授)

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