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『こうして女性は強くなった。家庭面の100年』 森英恵

ニュースカテゴリ:暮らしの書評

『こうして女性は強くなった。家庭面の100年』 森英恵

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デザイナーの森英恵さん  その時々の「いま」切り取る

 次はどんな時代になるかをファッションを通して考え、それを形にしてきた。いつも前を見て走っていたと思う。

 この本は、新聞の家庭面の記事で、100年の女性の暮らしの変化を見つめたもの。その時々の「いま」を切り取った記録は面白く、改めて日本の女の歴史に思いを馳(は)せた。

 和服から洋装化への流れ。女性美のシンボルとされた長い黒髪を切ることも働く女のイメージ。暮らしに身近な“着るもの”は時代の表現で、当時の新聞に掲載された写真が興味深い。

 100年の間にはいろいろなことがあった。とりわけ第二次世界大戦は、女性の暮らしに大きな影響を与えている。戦争には女性も動員され、社会参加を促されていった様子が伝わる。

 家庭にいて、待つだけの立場から、自立して生きていく女性たち。政治の分野に進出する人たちも。そんな先人たちの歩みが描かれている。とくに女性の参政権獲得に尽力した市川房枝さんの存在感。

 夫の母が市川さんの友人で、とても爽やかな人柄を感じた。新宿に開いたばかりの店で、スーツをオーダーされた。姿勢のよい女性だという印象がいまでも思い出される。

 子育て、教育、食べること…家庭のさまざまな話題が取り扱われているが、身の上相談に投書するほどの悩みを抱えた孤独。新聞はそんな女性の声を紹介する機会を与えてきた。私も一時期、回答者になった。悩みにも回答にも、時代と世相が反映されていると思う。

 「こうして女性は強くなった」というタイトル。家庭を持ち、子供を産み育て、仕事をしてきた女性の一人として、「こうして鍛えられた」というのが実感だ。でも、100年を経てきたいま、女性が強くなりすぎたのでは、と感じることもある。

 女の暮らしを語る興味深い一冊だ。(読売新聞生活部編/中央公論新社・本体1400円+税)

【プロフィル】森英恵

 もり・はなえ パリ・オートクチュール組合に属して活動を展開した唯一の東洋人デザイナー。彫刻の森美術館館長。

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