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4月から年金制度に変更点 「未支給分」おいやめい、嫁にも

ニュースカテゴリ:暮らしの生活

4月から年金制度に変更点 「未支給分」おいやめい、嫁にも

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4月から年金制度にもさまざまな変更点がある(本文とは関係ありません)  4月から年金制度で、いくつかの変更点があった。年金の減額や保険料の引き上げなど、次世代の年金制度を持続可能にするために痛みを伴うものがある。一方で、義父母の死亡で受け取れなかった年金を、生計を共にしていた嫁が受け取れるようになるなど使い勝手が良くなった部分もある。まとめてお送りする。(佐藤好美)

 年金受給者が死亡したときに、まだ受け取っていない年金(未支給年金)は親族が代わりに受け取ることができる。だが、「親族」の範囲が限られており、これまでは、配偶者▽子▽父母▽孫▽祖父母▽兄弟姉妹-で生計を共にする人しか請求できなかった。

 4月から、この範囲が拡大され、おいやめい▽子の配偶者▽おじ、おば▽ひ孫、曽祖父母-らも受け取れる。

 5年前にこの欄に登場した神戸市の岡田美和子さん(62)=仮名=は当時、夫のおばの未支給年金を受け取れる親族がおらず、納得できない思いをした。

 おばは年金でグループホームに入っていたが、子供がおらず、おいやめいが何くれとなく生活に気を配っていた。しかし、おばの死亡後、当時の社会保険業務センターから年金返還を求められた。生前の年金だったが、支給日に死亡していたためだ。グループホームの費用に充てていたが、結局、親族が工面して返還した。

 今回、生計同一であれば、おいやめいも未支給年金を受け取れるようになった。岡田さんは「あのときは驚きました。わが家は今、また別のおばを世話しているんです。兄弟姉妹や子供がいないと、おいやめいしか世話する人がない。制度が変わったのは良かったと思います」と言う。

 未支給年金の支給をめぐっては、おいやめいだけでなく、義父母を介護していた嫁からの苦情も多かったようだ。嫁には相続の権利がなく、夫の死亡後に義父母の介護を続けても未支給年金は受け取れなかった。4月からは生計同一であれば未支給年金が受け取れるようになる。「介護をしても報われない」との声は根強いが、小さな一歩になるかもしれない。

 ■遺族基礎年金 父子家庭にも支給

 共働き世帯が増える中、「一家の支え手は夫」という前提も見直された。

 遺族基礎年金の支給対象は子供がいる「母子家庭」だったが、4月からは「父子家庭」にも支給される。支給額は親と子供1人で年に約100万円弱。

 遺族基礎年金は従来、夫を失った母子には支給されても、妻を失った父子には支給されなかった。このため、例えば、自営業の共働き夫婦(いずれも国民年金の第1号被保険者)では、妻が亡くなっても夫には遺族基礎年金が出なかった。

 かねて「男性が家計を支えることを前提とした制度設計」と批判があり、政令改正で性別に着目した要件がなくなった。4月からは年収が一定要件を満たせば、父子でも母子でも遺族基礎年金を受け取ることができる。

 ところが、改正の過程で別の問題が生じた。

 厚生労働省は当初、会社員の妻など「国民年金の第3号被保険者」が死亡した場合、その配偶者に遺族基礎年金を支給しない方針だった。「年金保険料を納めていない『第3号被保険者』は養われていた人で、生計維持者ではないはず」(年金局年金課)と考えたためだ。

 だが、この案に反対意見が相次いだ。全国社会保険労務士会連合会は「第3号被保険者の中には、(会社員などの)第2号被保険者が失業や病気などで一時的に第3号になっているケースもある」として、「慎重な検討を求める」とする会長見解を公表した。

 厚労省が求めたパブリックコメントでも「第3号被保険者がパートで働き、世帯の生計維持に貢献している世帯もある」などの反対意見があった。

 このため、厚労省は当初案を修正。4月からは「第3号被保険者」が死亡した場合も、子供がいて収入要件を満たせば、死亡した人の配偶者が遺族基礎年金を受給できることにした。

 ただ、社労士の間でも意見は分かれる。「保険料を納めていない人の死亡に遺族基礎年金が出ることには違和感がある。第2号だった期間によって考慮してもいいのではないか」(関東地方の社労士)との声もある。厚労省は「今回は政令改正で可能な範囲内での変更」としており、今後の制度改正で考え方を整理する方針だ。

 ■6月支給分から0.7%減

 年金額は4月分から0.7%引き下げられる。4月分の年金支給は6月なので、実際に減額が反映されるのは6月支給分からになる。

 年金額は過去の物価下落に合わせた減額をしてこなかったために、現在、本来水準よりも高い額が支給されている。昨年から3回に分けて本来水準に戻される予定で、今回は物価や賃金の動向を踏まえて、0.7%の減額となった。

 実際の引き下げ幅は端数処理などにより、完全に0.7%と一致するわけではない。減額幅は国民年金が満額の人で月額475円。月額6万4875円だった国民年金が6万4400円になる。厚生年金の場合は、会社員生活を40年送った夫と専業主婦の妻の「標準世帯」で月額1666円下がり、22万6925円になる。

 ただ、今回の年金減額は消費税引き上げと同時に実施されるため、住民税非課税の人には追って給付金で加算が支給されることが決まっている。近く、自治体で手続きが始まる「臨時福祉給付金」で、対象者のうち約1200万人の老齢基礎年金や遺族基礎年金などの受給者には給付金本体(1万円)に5000円が加算される。

 一方、年金の保険料額は引き上げになる。国民年金保険料は月額210円引き上げられ、1万5250円になる。国民年金保険料の納付場所は昨年末に拡大された。従来の銀行、信用金庫、郵便局、コンビニエンスストア以外に、一部ドラッグストアなどでも納付できるようになった。

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