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「骨太の方針」素案 「聖域なき見直し」 社会保障にメス

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「骨太の方針」素案 「聖域なき見直し」 社会保障にメス

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 経済再生と財政再建両立

 政府は6月6日、経済財政諮問会議を開き、経済財政運営の指針「骨太の方針」の素案を示した。経済再生と財政再建の両立を目指すことが柱だ。「成長戦略や税制を総動員」すると明記。企業収益の改善を家計に波及させ、賃金の上昇や消費の拡大につなげることを盛り込んだ。

 財政の健全ぶりを示す目安である国と地方の基礎的財政収支を対国内総生産(GDP)比の赤字幅で2015年度に10年度から半減、20年度までに黒字化する。その後は債務残高の安定的な引き下げを目指す。裁量的経費、義務的経費は聖域なく見直す。

 安倍晋三首相(58)は「経済再生と財政健全化の好循環をしっかりとしたものにするために取り組んでいきたい」と述べた。骨太の方針は14日に閣議決定され、17~18日に英国で行われる主要国(G8)首脳会議で安倍首相が成長戦略とともに国際社会にアピールする。

 個別分野では、地方交付税を地域活性化や行政の効率化に取り組む自治体に手厚く分配するなど、交付税の総額を抑え、財政再建と地域活性化を両立させる。

 高齢化の進展で増加している社会保障関係費も安価なジェネリック医薬品(後発薬)の普及促進、公的年金の支給額が本来より高くなっている「特例水準」を早期に解消することも求めた。

 一方、14年度予算編成に向けた基本的な考え方も提示。20年ごろまでの物価動向などを展望する「中長期の経済財政試算」や財政健全化目標達成に向けた具体的な取り組みを示した「中期財政計画」を8月に策定する。

 (SANKEI EXPRESS

 「聖域なき見直し」 社会保障にメス

 6月6日の経済財政諮問会議で示された「骨太の方針」の素案には財政規律の堅持が明確に打ち出された。消費増税を前提に、高齢化で増え続ける社会保障費に抜本的なメスを入れるのが最大の柱。財政健全化に伴う痛みを和らげるには景気回復が欠かせないが、財源は極めて限られる。そこで、「骨太の方針」の素案には教育などを通じた「能力・個性を発揮するための基盤強化」をはかる方針を明記。財政出動に頼らず、国民の職業能力を引き上げることで、日本の潜在成長力を向上させようとする狙いを盛り込んだ。

 約4年ぶりに復活した経済財政諮問会議で議論してきた「骨太の方針」は政府の成長戦略の理念にあたる。大枠の指針を骨太で示し、それをより具体化した政策を成長戦略として盛り込む形だ。安倍首相が2つの方針を分けたのは、経済成長を重視する政権の姿勢を明確にするためだ。このため成長戦略の検討は主に産業競争力会議で行って、諮問会議は経済財政運営を軸に議論した。

 骨太の方針の素案では基本理念に「経済再生と財政健全化」と明記。「アベノミクス」の財政健全化の軸にする方針だ。第3の矢である成長戦略との両輪で国力を立て直す戦略だ。

 素案では、2021年度からの公的債務残高の引き下げを初めて明記。日銀の異次元の金融緩和策以降、長期金利が乱高下しており、金利の上昇が景気に与える悪影響を避けるためにも、財政再建を急ぐ必要を認識しているためだ。

 今回示された財政健全化の目標を実現するには、社会保障改革が不可欠となる。素案では「聖域なき見直しを行っていく必要がある」と明記。高齢者医療の自己負担や生活保護給付の見直しに言及するなど社会保障改革を徹底的に進める姿勢を鮮明にした。

 しかし健全化に向けた道のりは平坦(へいたん)でない。総額10兆円規模の景気対策で国の借金は逆に膨らんでいる状態だ。このため、「社会保障改革など痛みを伴う改革に加え、経済の潜在成長率を引き上げる必要がある」(ニッセイ基礎研究所の斎藤太郎経済調査室長)との声が市場などには強い。

 日本の中期的な経済成長の可能性を示す「潜在成長率」は、13年の1~3月期で0.8%と、ピークの1987~88年から6分の1に縮小。成長率を伸ばすには企業の設備投資に加えて、「労働」や「生産」の拡大が不可欠との考えが骨太からはうかがえる。(SANKEI EXPRESS

 ■骨太の方針 政府の経済財政運営の基本的な考え方を示す文書。議長を務める首相や関係閣僚のほか、経済界や学界から選ばれた民間議員らで構成する経済財政諮問会議で審議し取りまとめる。財政健全化の計画や、社会保障費や公共事業の見直し方針などが書き込まれる。小泉政権が2001年に初めて策定した。民主党政権は経済財政諮問会議を休眠状態としたため、骨太方針の策定は4年ぶりとなる。

 【「骨太の方針」素案のポイント】

・国と地方の基礎的財政収支の対国内総生産(GDP)比の赤字幅を2015年度に10年度から半減、20年度までに黒字化

・2021年度以降は債務残高を安定的に引き下げ

・地域活性化や行政の効率化に取り組む自治体には地方交付税を手厚く配分

・社会保障費も聖域とせず、生活保護の見直しやジェネリック医薬品(後発薬)の使用を促進

・防災、減災対策を推進し、南海トラフ地震や首都直下地震などから国民を守る

・2020年ごろまでを展望する「中長期の経済財政試算」を策定

・財政健全化目標達成のため国と地方の具体的な取り組みを盛り込んだ「中期財政計画」を策定

・消費税引き上げの最終判断は今秋に行う

 (SANKEI EXPRESS

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