ニュースカテゴリ:EX CONTENTS
科学
ネット依存の処方箋は情報遮断 大和田潔
更新
数回にわたり、サーカディアンリズムの大切さをお伝えしてきましたが、タイムリーに「ネット依存の中高生51万人、8%が『病的』睡眠障害や体調不良も 厚労省研究班」(8月1日付msn産経ニュース)というニュースが飛び込んできました。ネットに過剰に依存した中高生が、サーカディアンリズムを崩しているという厚生労働省の調査結果です。
ネットの過剰依存により、睡眠時間が短くなり、寝ても熟睡できず、午前中から調子が悪いという子供たちが増えているとのことです。中高生の約1割がネットへの依存性が極めて高い「病的使用」状態で、約51万8000人にのぼると推計されるそうです。
小さな子を思い浮かべるとわかるように、ヒトは若いうちは落ち着きがなく注意が散漫です。ヒトの脳は、コンピューターのマルチタスクのように、いろいろな作業を同時進行させているように見えます。実は、脳が意識して注意を十分に集中できるのはひとつの作業で、細かく瞬時に作業をスイッチしていると考えられています。
ある作業が完了するまで注意を続けられなくて、いろいろなものを散らかしたままになってしまう性質を生まれながらに持った人々もいます。彼らは、日常生活上は少し困難を伴いますが、新しいものを創造していく力が優れていたりするため、人類の進歩には必要な人々です。
そういった性質を持っていなくても、どの若年者もそういった傾向は持っています。ネットで行う作業は、興味あるリンクをたどったり、面白い動画や掲示板をながめたりするといった受動的な面だけでなく、ゲームをしながらチャットをするといった能動的にする側面も持ちます。
どこで中断しても問題ない作業を細切れにザッピングする行為に、若者は彼らの脳の性質から病的に依存してしまいます。こうしたネット依存に対する一番の処方箋は、情報遮断です。夜はスマホやネット端末を遮断して、きちんと寝る。時間を決めて思い切って止めてしまう。あふれる情報を遮断し、捨て去れば、本当に大切なことに耳を澄ませることができるようになります。生活をシンプルにして、良い脳を育てていくようにしましょう。(秋葉原駅クリニック院長 大和田潔/SANKEI EXPRESS)