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逆境はね返す「底力」見せた! 楽天が初の日本一
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≪田中が三振締め 星野監督、歓喜の胴上げ≫
東北楽天ゴールデンイーグルスが逆境をはね返し、球団創設9年目で初の日本一に輝いた。コナミ日本シリーズ2013の第7戦が11月3日、仙台市のKスタ宮城球場で行われ、前日にまさかの今季初黒星を喫したエース田中将大(まさひろ)投手(25)が九回を締め、巨人を3-0で破った。逆王手をかけられる絶体絶命のピンチのなかチーム一丸となって「底力」を見せた。星野仙一監督(66)にとっては、4度目のシリーズ挑戦で初の日本一。約束通り、東日本大震災からの復興を目指す東北に歓喜をもたらした。
7戦までもつれた激闘に決着がついた瞬間、超満員の2万8000人を超える観客で膨れた球場が一体感に包まれた。星野監督は、息子のような若い選手たちの手で胴上げされた。
「全国の子供たち、被災地の人たちに勇気をくれた選手たちをほめてやってください」。星野監督が試合後のインタビューで語った通り、選手たちは期待に応えた。
初回に巨人の失策で先制すると、二、四回にも1点ずつ追加、MVPに輝いた美馬(みま)学投手(27)が六回まで無失点に抑え、試合の主導権を握った。七回から大車輪の活躍のルーキー則本昂大投手(22)が中継ぎし、九回は前日に160球を投げた田中投手がマウンドに上がり、三振で締めた。
震災直後のことが思い出されるような逆境で迎えた最終決戦で、チームはショックを引きずることなく結束した。
「彼一人に背負わせてはいけない。勝てば田中も救われる」と、バッテリーを組んだ嶋基宏捕手(28)は必勝を誓った。被災地の岩手県普代村出身の銀次選手(25)は「いかに平常心でできるか。本当に最後なので、いかに楽しめるか」と、自分に言い聞かせた。
「あのときは『旅がらす』のようだった」と、星野監督は震災直後の日々を振り返る。Kスタ宮城も一部が損壊し、2カ月間も本拠地に戻ることができなかった。選手たちは「地元を離れて、野球をしていていいのか」と自問。指揮官も、震災とどう向き合えばいいのか、葛藤の日々だったという。
「われわれのできることは勝って(ファンを)喜ばすことしかない。おまえたちの優しさは(ファンに)伝わっている。今度は『強さ』を伝えよう」
指揮官が出した答えだ。
チームも指揮官も逆境からはい上がってきた。球界再編に伴い、“寄せ集め”の新球団として2005年に誕生。1年目は38勝97敗1分けという屈辱的な成績だった。
08年の北京五輪で日本代表を率いたがメダルを逃し、激しいバッシングを浴びた指揮官は、このままでは終われないと、還暦をすぎて中日、阪神に続く3球団目のユニホームに袖を通した。
震災後は、チームの誰もが東北を本拠地とする球団としての使命を感じて戦った。11年4月に行われた復興支援試合で、嶋捕手は「見せましょう、野球の底力を」と、スピーチで呼びかけた。試合で負けが込み、「いつになったら底力を見せるんだ」とやじられることもあったが、「試合で勝つことが一番の支援になる」と、がむしゃらに勝利を追ってきた。
文字通り逆境での「底力」を証明し、ファンとともに東北の地で日本一の栄冠をつかんだ。(SANKEI EXPRESS)