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NSA盗聴問題 岐路に立つ米情報政策 収束を模索

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NSA盗聴問題 岐路に立つ米情報政策 収束を模索

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 欧州を舞台にした米情報機関による情報収集問題で激震が続いている。メディアや世論の反発の中、双方は関係修復の糸口を懸命に探っている。

 オバマ米政権は、国内外における情報収集活動に一定の原則などを設け、透明性を高めることで事態の収束を目指している。だが、情報収集活動は本来、透明性とは無縁で、活動の制限と相まって米国の安全保障上の能力を阻害することになりかねず、米国は岐路に立っている。

 ホワイトハウスでは連日、記者団とカーニー大統領報道官との激しい質疑が繰り広げられている。

 記者「同盟国の首脳への盗聴、監視を見直していると言われているが」

 カーニー氏「この問題に関しては詳細には立ち入らない。外交ルートを通じ多くの国と直接、連絡している。米国と同盟国の安全保障上の要請と、プライバシーとの調和をいかにとるか、見直している」

 記者「同盟国への情報収集を続けないのか」

 カーニー氏「同盟国と調整し、いかなる原則と制限が適切かを検討している。オバマ大統領は恐らく、NSA(米国家安全保障局)の透明性を高め、(活動をある程度)制限する措置を取るだろう」

 こうした応答が対応に苦慮するオバマ政権の姿を象徴している。事は機密情報の収集という「闇の部分」に関わるだけに、政権は個別の活動について肯定も否定もできない状況だ。

 その裏では欧州各国と折衝し、着地点を探っている。「同盟国も米国に対し情報収集活動を行っている」と反論し欧州側の批判を封じようとしてもいる。

 連邦議会には、通話記録収集などプライバシー侵害への国民の批判を背に、超党派による2法案が提出された。NSAへの監視を強め、通話記録収集などを制限する内容が含まれる。だが、情報収集により水際でテロを防いだ例は「数え切れない」(ケリー国務長官)うえ、軍事力と情報力こそが「超大国」の源だ。

 このため、共和党のピーター・キング下院議員は法案に反対の立場で、「欧州が安全を享受できるのは米国が収集、提供した情報のおかげで、欧州に謝罪し防戦に回る必要はない」と話す。かたや民主党のファインスタイン上院情報特別委員長は、「同盟国の首脳への盗聴は不要で、情報収集活動の監視を強化すべきだ」と訴えている。(ワシントン 青木伸行/SANKEI EXPRESS

 ≪日本の科学技術など3分野監視≫

 米紙ニューヨーク・タイムズ(電子版)は11月4日までに、日本も米国家安全保障局(NSA)の監視対象になっていたと報じた。米中央情報局(CIA)元職員のスノーデン容疑者から入手したとする機密文書の内容として伝えた。

 ニューヨーク・タイムズは、2007年1月付の「戦略ミッション・リスト」と題した機密文書のコピーを掲載。重要な監視対象がテロや国土安全保障、経済など計16に分類されており、日本は科学技術、経済、外交の3分野で対象になっていた。

 ニューヨーク・タイムズは11月2日付(電子版)で、「米国は常に友好国と敵国をスパイしている」とし、「外交的優位」に立つためフランスやドイツ、「経済的優位」に立つため日本やブラジルを監視していた、と報じていた。

 2001年の米中枢同時テロ後、NSAは多額の予算が使えるようになり、活動範囲を広げてきた。国内の拠点を整備したほか、職員は日韓、オーストラリアなどの海外拠点からも情報を集めているという。(ニューヨーク 黒沢潤/SANKEI EXPRESS

 ≪対応策なく危機管理に課題≫

 米国家安全保障局(NSA)が日本の情報を監視していたとの米紙報道を受け、政府は11月5日までに米側に事実関係の照会を行った。世界最高レベルの諜報機能を持つ米国が監視活動を行っているのは「周知の事実」(外交筋)だが、万全の対応策はなく無防備なのが実情。諜報活動を相互に行わないとの協定もなく、日本政府の危機管理が改めて問われている。

 「一層緊密に意思疎通をするよう米側に申し入れている」。菅義偉(すが・よしひで)官房長官は5日の衆院国家安全保障特別委員会で、日本も監視対象との報道について、こう釈明した。菅氏は詳細な説明を避けたが、申し入れは、同盟国への諜報活動に対する「抗議の意味合いもあった」(政府高官)という。

 日本政府は、米中央情報局(CIA)元職員による機密情報の暴露が表面化した6月以降、米側への照会を繰り返してきた。「日本の要人の諜報活動はしていない」との言質は得てきたが、今回の米紙報道前に詳細な実態を把握できていたわけではない。

 政府は重要なメールはデータを暗号化し、機密レベルの高い資料はメールでの送受信を控えるなどの運用で対応している。

 過去に日米通商交渉に携わった外交筋は「米国では携帯電話を傍受されているとの前提で対応していた」と指摘するが、国内では政権幹部が頻繁に携帯電話で連絡を取り合うなど無防備だ。米国は地球規模の交信傍受システム「エシュロン」を日本国内でも運用。英国や豪州などに対しては諜報活動を相互に行わないとの協定を結ぶが、日本は対象外のままとなっている。(SANKEI EXPRESS

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