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「みずほ銀本体も取引」 頭取が陳謝 暴力団融資で参考人招致

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「みずほ銀本体も取引」 頭取が陳謝 暴力団融資で参考人招致

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 衆院財務金融委員会は11月13日、暴力団関係者ら反社会的勢力への融資を放置していた問題を受け、みずほ銀行の佐藤康博頭取らを参考人招致し、集中審議を行った。佐藤頭取は系列信販会社を通じた提携ローンだけでなく、みずほ銀本体の直接の融資でも反社会的勢力との取引があったことを明らかにし、「取引解消に努めている」と陳謝した。

 参考人として出席した全国銀行協会の国部毅会長も頭取を務める三井住友銀行で「反社会的勢力と疑われる先はある」と述べた。

 佐藤頭取は役員らの報酬カットなどの処分が甘すぎると追求されたが「グループ全体の反社会的勢力の排除に全身全霊に当たるのが私の使命」と自ら辞任する考えはないことを改めて強調した。

 問題となった提携ローンについては「自行の債権との認識が低く、反社会的勢力への対応も特定組織に依存していた」などと従来通りの釈明に終始しただけで、真相究明は進まなかった。

 金融庁検査に「情報は担当者止まりだった」と事実と異なる説明をした経緯についても「担当者が記憶に頼って過去の資料を調べず、軽率だった」と組織として問題があったことに言及。しかし、これも従来通りの説明の繰り返しとなり、質問した議員らが不快感を示す場面も目立った。

 衆院財金委はほかにも全国地方銀行協会の谷正明会長(福岡銀行頭取)、日本証券業協会の稲野和利会長、日本クレジット協会の大森一広会長も招致した。

 ≪繰り返される「融資と解消」 水際排除へ対策急務≫

 銀行と暴力団関係者ら反社会的勢力との取引が次々に明らかになっている。11月13日、みずほ銀行と三井住友銀行で反社会的勢力らとの直接取引があることがわかった。三菱東京UFJ銀行など他行でも同様の取引がある可能性が高い。各行は問題取引が判明次第解消に動くが、融資後に反社会的勢力となる場合もあり、融資と解消を繰り返す状態になっている。問題取引を防ぐ抜本策が急がれる。

 「意識の薄さ」問題放置

 「暴力団排除条項のあるものは適用し、ないものは特別な管理のもとで取引解消に努めている」。みずほ銀行の佐藤康博頭取は、13日の衆院財務金融委員会で反社会的勢力との取引が判明次第、取引解消を進めている現状を説明した。

 暴力団排除条項とは、融資を受ける人や保証人が暴力団組員や総会屋などではないことを確認する内容で、違反した場合は銀行側は期限前でも返済を求めることができる。暴力団排除条項を導入する前の融資であれば、取引先を監視し、滞納すれば直ちに回収に動き、返済を継続すれば完済させるようにする。

 意図せず一時的に反社会的勢力との取引が生じることを、金融庁も問題視しているわけではない。融資段階で健全な企業であっても、取引後に反社会的勢力が経営陣に加わるケースもあるからだ。

 みずほ銀で問題になったのは、暴力団関係者らへの融資を約2年間放置したことと、「情報が担当役員どまり」と事実と異なる報告をしていた2点だ。

 問題となった提携ローンは、銀行が信販会社を通じ自動車などの購入代金を顧客に融資する仕組み。このことが「自行債権という意識の薄さ」(佐藤頭取)につながり、問題を放置させる原因になった。

 データの提供・共有へ

 今回のみずほ問題を機に、他の金融機関でも暴力団関係者らへの融資が相次ぎ発覚。銀行を含む金融業界は反社会的勢力との取引を防止するため、融資の「入り口」段階での監視体制の強化を目指している。

 全国銀行協会の国部毅会長(三井住友銀行頭取)は「水際で排除する」と述べ、信販業界を含む金融関係8業界に、全銀協が保有している独自の反社会的勢力のデータを提供・共有する方針を明らかにした。さらに警察庁のデータとの接続に向け「(警察庁と)具体的に協議する」(国部会長)としており、どれだけ実効性のある対策を構築できるかが問われている。(SANKEI EXPRESS

 【みずほ銀行頭取の発言骨子】

・反社会的勢力との関係遮断が不十分で深くおわびする

・反社会的勢力の徹底的排除に向け不退転の決意で取り組む

・金融庁に事実と異なる報告をした際、不正、癒着、隠蔽があったことを示す証拠はない

・提携ローンは今後も継続する

・提携ローン以外にも反社会的勢力との取引があるが解消に努めている

 【みずほ暴力団融資問題の経過】

1997年       第一勧業銀行が信販会社オリエントコーポレーションと提携ローン開始

2011年1月     みずほ銀行の西堀利頭取が暴力団融資を認識

     6月20日  西堀氏がシステム障害で引責辞任。塚本隆史頭取就任

2012年12月7日  金融庁が検査開始

2013年7月1日   佐藤康博頭取就任。塚本氏は会長

     7月11日  金融庁に情報は担当役員止まりと報告

     9月27日  金融庁が業務改善命令

     10月8日  佐藤頭取が記者会見。取締役会に報告があり、自分も知り得る立場と説明一変

     10月9日  金融庁が事実と異なる説明で報告命令

     10月28日 みずほ銀行が金融庁に社内処分を含む業務改善計画を提出

     11月5日  追加検査開始

     11月13日 衆院財務金融委員会が佐藤頭取を参考人招致

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