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西武ドラ1・森捕手 登校中の「連係好プレー」 ホーム転落の男性 担ぎ上げ救出
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高校野球で甲子園を沸かせ、プロ野球西武からドラフト1位指名を受けて入団が決まった大阪桐蔭高(大阪府大東市)の森友哉(ともや)捕手(18)が11月、JR新今宮駅(大阪市浪速区)で、ホームから線路に転落した目が不自由な男性をチームメートと協力して救助していたことが分かった。JR西日本は12月9日、感謝状を贈呈した。森捕手は「体が反応して、とっさに助けられて良かった」と笑顔で話したが、救出劇があったのは約3分間隔で電車がホームに入る朝のラッシュアワー。相当な勇気と行動力、体力がなければ成し得なかった人命救助だった。
JR西日本と大阪桐蔭高によると、森捕手は11月16日朝、チームメートの久米健夫(たてお)捕手(18)と一緒に通学し、新今宮駅・大阪環状線の1番線ホームで電車を待っていた。午前7時25分ごろ、白い杖を頼りに歩いていた70歳代の男性が誤って反対側(背中側)の2番線ホームから転落するのを久米捕手が目撃。久米捕手は「森、いくぞ!」と声をかけ、2人は約1.5メートル下のホームに飛び降り、男性をホームに担ぎ上げた。
駅員が現場に駆けつけたところ、男性はすでに救出された後で、2人は名前も告げずにそのまま登校していた。男性は病院に運ばれたが軽傷だった。2人が持っていたバッグに大阪桐蔭高野球部の名前が入っていたことから後日、副駅長が高校にお礼の電話をしたところ、森捕手と久米捕手が助け出したことが判明したという。
大阪桐蔭高で行われた感謝状贈呈式で、森捕手は当時の状況について「一度、電車が来る方向を確認。電車が来てなかったので、(線路に)降りた」と、冷静に行動したことを説明した。しかし、思い起こせば「危機一髪だった」とし、「(今後こういう状況に遭遇したら)非常ベルをしっかりと押してから助けたい」と語った。久米捕手は「自分たちが行くしかないと思い、森君に声をかけて(線路に)降りた。(2人の)息がぴったりと合った。(救出劇は)10秒ぐらいだったと思う」と振り返った。JR西日本安全推進室の槌谷(つちたに)博和室長は「甲子園のチームプレーを思わせる連係」と感謝した。
強打、強肩、俊足の森捕手は、阪神に昨年入団した藤浪晋太郎投手(19)とバッテリーを組み、大阪桐蔭高が昨年、甲子園大会で史上7校目の春夏連覇を達成する原動力になった。今年は主将を務め、チームを夏まで4季連続の甲子園出場に導いた。副主将の久米捕手は控え捕手としてベンチ入りし、今春の選抜大会3回戦では先発出場した。
大阪桐蔭高野球部捕手としての2人の冷静な判断力が、とっさの状況でも発揮された、勇気ある行動だった。(SANKEI EXPRESS)