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TPP年内妥結断念 協議1月再開 米の強硬姿勢変わらず

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TPP年内妥結断念 協議1月再開 米の強硬姿勢変わらず

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 シンガポールで開かれていた環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)交渉の閣僚会合は12月10日、「交渉完了に向けて協議を継続する」との声明をまとめ閉幕し、年内の交渉妥結を断念した。参加12カ国は来年1月に再び閣僚会合を開き、関税や知的財産など難航分野の合意を目指す。日本が関税維持を求めた農業の重要5分野の扱いも結論を持ち越した。

 米通商代表部(USTR)のフロマン代表は会合後の記者会見で「包括的な高水準の協定という目標に一歩近づいた」と述べた。同様に閣僚声明も「12カ国は主要課題の潜在的な着地点を見極めた」と強調した。

 だが、具体的な合意分野には言及しなかった。また、記者会見の閣僚発言や声明で、次に交渉妥結を目指す時期の目標は明示されなかった。

 閣僚会合では、焦点となった関税の撤廃・削減や知的財産、国有企業改革などの難航分野について、閣僚による政治決着が期待された。だが、各国の意見の隔たりは埋まっていない。

 西村康稔内閣府副大臣は(12月)7日からの会合で、各国の担当閣僚らと個別に会談。米国にはコメなど農産品の重要5分野の関税維持に強く理解を求めた。だが、米国は全品目で関税撤廃を求める姿勢を崩さず、結論は先送りとなった。12カ国は今後、交渉官や首席交渉官が協議を続ける。ただ、西村副大臣は「まだ作業量は相当ある」と述べ、次回の閣僚会合での妥結は困難との見方を示した。(シンガポール 坂本一之、会田聡/SANKEI EXPRESS

 ≪米の強硬姿勢変わらず≫

 12月10日に閉幕した環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)交渉の閣僚会合は、すべての交渉分野に「合意」を示せなかった。閣僚交渉で期待された関税や知的財産など、難航分野の“政治判断”は最後まで示されず、米国と新興国の対立はいぜん残ったままだ。交渉参加12カ国は再び協議を始めるが、妥結に向けた勢いを取り戻すのは容易ではない。

 結論先送りの最大の要因は、米国の強硬姿勢だ。関税とともに協議が難航した国有企業改革では、米国が補助金の削減などを提案した。これに対し、マレーシアのジャヤシリ首席交渉官は会見で「柔軟性という形でわれわれの懸念に対応してほしい」と自国企業への優遇策が必要な国内事情に理解を訴えた。

 米通商代表部(USTR)のフロマン代表は「バランスのとれた協定になるよう努力した」と強調したが、参加国には「海外進出で利益を得る自国企業の利益しか考えていない」(通商筋)と不信感が強い。

 会合前は年内妥結を優先する米国が「最後は譲歩する」(日本政府関係者)との見方もあった。だが、日米協議では西村康稔(やすとし)内閣府副大臣が「柔軟性を示してほしい」と繰り返し訴えたが、「米国の姿勢に大きな変化なかった」(交渉関係者)という。日本の西村副大臣は「これだけ議論しても立場や意見の違う部分がある」と4日間の議論を振り返った。

 交渉参加12カ国は次回の閣僚会合を約1カ月後という異例のペースで開き、早期妥結を目指す。ニュージーランドのグローサー貿易相は「交渉の勢いは加速していく」と述べた。だが、妥結の目標時期は明言せず、交渉に向けた各国の“勢い”は失われつつある。

 通商戦略の新たな潮流となりつつある「巨大自由貿易協定(メガFTA)」の先駆けとしてTPPの成否は、世界の貿易体制に大きな影響を与える。米国の勢力拡大を警戒する中国は日中韓FTAに積極的だが、日本にとっては「TPPが牽引(けんいん)役になる」(経済産業省幹部)との重要性は変わらない。米国と新興国の対立が深まる中、日本も難しいかじ取りを迫られる。(シンガポール 会田聡/SANKEI EXPRESS

 【環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)の主な交渉分野の状況】

      分野 : 内容

 ≪最難航≫

物品市場アクセス : 関税の削減や撤廃

原産地規則 : 関税減免の対象となる産品の基準

政府調達 : 公共事業発注のルール

知的財産 : 模倣品や海賊版対策

競争政策 : カルテルなどの防止、国有企業の扱い

環境 : 貿易や投資促進のために環境基準を緩和しない

 ≪難航しているが、前進した≫

金融サービス : 国境を越えた金融規制の整備

投資 : 内外の投資家を差別しない。外国企業が投資先の政府を訴えられる条項(ISDS条項)

労働 : 貿易や投資促進のために労働基準を緩和しない

 ≪合意にほぼ達している≫

貿易円滑化 : 税関の手続き簡素化

衛生植物検疫 : 食品の安全や、動植物が病気にかからないようにする措置

貿易の技術的障害 : 安全基準の規格などが貿易の障害にならないようにする

貿易救済 : セーフガードなど輸入急増への措置

越境サービス : サービス分野のルール整備

商用関係者の移動 : 海外出張者の入国手続きの簡素化

通信サービス : 通信網利用などのルール整備

電子商取引 : インターネットを通じた取引の環境・ルール整備

制度的事項 : 協定の運用を協議する委員会の設置

紛争解決 : 参加国同士の争いを解決する手続き

協力 : 協定を守る態勢が不十分な国への支援

分野横断的事項 : 複数分野にわたる規制への対応

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