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「負け癖」不安いっぱいの都知事選

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「負け癖」不安いっぱいの都知事選

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 【安倍政権考】

 与野党が来年の都知事選(1月23日告示、2月9日投開票)の候補擁立に向けた動きを本格化させている。中でも自民党は総裁の安倍晋三首相が自ら陣頭指揮を執り、党幹部が急ピッチで選定作業を進めている。来年(2014年)4月には消費税率が8%に上がり内閣・党支持率の低下が懸念されるだけに、都知事選の勝利で少しでも政権基盤を安定させておく必要があるからだ。ただ、自民党は過去の都知事選で負け癖がついているだけに、党幹部は不安な気持ちでいっぱいだ。

 勝てる後継候補を

 安倍首相は12月19日、都知事の猪瀬直樹氏が辞任を表明すると、自民党の石破(いしば)茂幹事長を官邸に呼び込んだ。首相は石破氏に対し、後継候補について「とにかく勝てる候補で、行政がきちんとできる人を探さなければならない」と厳命。知事選を政権の最重要課題に位置付け、自民党が一丸となって臨む姿勢をアピールした。

 首相は前日の18日にも、官邸に萩生田光一(はぎうだ・こういち)総裁特別補佐を呼び、「都政が混乱している。首相としても心配しておかないといけないので、情報収集をしてほしい」と要請。猪瀬氏の辞職を念頭に事実上の候補擁立作業を指示していた。「首相が猪瀬氏を辞めるように促していると国民に思われてしまう」と政府高官が危惧するほど、首相は都知事選の動向に神経をとがらせていた。

 首相が都知事選対策に躍起になるのは自民党の推す候補が負ければ、首相ら党執行部の責任問題が浮上するからだ。支持率が下降し、求心力の低下も避けられない。続く4月の消費増税でさらに支持率が低下すれば、首相の掲げる重要政策の一つである集団的自衛権の行使容認に向けた環境づくりが進まない可能性がある。

 そもそも、過去の都知事選は自民主導で擁立した候補の敗北が目立ち、「政党選挙の鬼門」(党幹部)として恐れられてきた。例えば1991年の選挙では当時の小沢一郎幹事長(現・生活の党代表)が元NHKキャスターの磯村尚徳(ひさのり)氏を擁立したものの敗北。小沢氏は幹事長を引責辞任した。

 また、95年の選挙で自公両党は、当時の社会党など3党とともに石原信雄元官房副長官を擁立した。組織票では圧倒的優位に立ったものの、タレント出身で知名度に勝る青島幸男氏に惨敗してしまった。

 さらに99年の選挙で自民党は明石康元国連事務次長を立て公明党の支援を仰いだが、得票は69万票にとどまり、圧倒的な知名度を誇る石原慎太郎氏の166万票にはるかに及ばなかった。この時も自民党執行部の進退問題が浮上した。

 首相の正念場

 東京の有権者は1000万人を超え、無党派層が多い。このため、知名度のある候補による人気投票になりがちだ。政党色がかえってマイナスに働く側面があり、自民党は候補擁立に頭を悩ませてきたわけだ。加えて、最近の地方選でも、自公の旗色は悪い。10月の川崎市長選で自公推薦の新人候補が負け、11月の福島市長選でも自公などの支援を受けた現職が大敗している。

 こうなると、自民党としては無所属でもいいから“勝てる候補”に触手を伸ばさざるを得ないのが実情だ。ただ、一方で「政党である自民党が人気投票で知事候補を選んでいると思われるのはよくない」(党幹部)とする声もあり、党執行部が納得のいく候補を見つけるのは容易ではない。

 「都知事選で負けると、安倍首相も石破幹事長も終わりだな」

 派閥の会合で、こう述べる閣僚経験者さえいる。首相の正念場が年明けにやってくる。(比護義則/SANKEI EXPRESS

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