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「岩国」 極東最大級の米軍基地へ オスプレイ搬入・給油機移駐で変貌
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新型輸送機オスプレイの搬入や、沖縄からの空中給油機移駐決定で、米軍岩国基地(山口県岩国市)に注目が集まっている。朝鮮半島有事の際の出撃拠点とされ、将来は極東最大規模の米軍基地になると予想される要衝の実態はあまり知られていない。
岩国市役所から車で数分。瀬戸内海に面した三角州の中に基地が広がる。長さ約2500メートルの滑走路は米軍機や自衛隊機の行き来が絶えない。「ゴーッ」。離着陸のたびに響き渡る轟音(ごうおん)。隣の人の声が聞こえないほどだ。
米軍岩国基地には米海兵隊第1海兵航空団などが駐留する。基地の軍人や軍属、家族の総数は約5000人。所属の米軍機は53機に上る。
基地の役割の一つは「アジア・太平洋地域における戦闘や有事の活動の際、米軍、同盟軍に支援を提供すること」(基地報道部)。韓国・釜山まで約300キロで、在日米軍基地の中では朝鮮半島に最も近く、朝鮮戦争の際には出撃拠点となった。現在でも「朝鮮半島有事に備えた基地であり、北朝鮮情勢が軟着陸するまでその役割は続く」と、軍事アナリストの小川和久さんは指摘する。
日米が合意した米軍再編計画に基づき、米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)のKC130空中給油機15機が6~9月に、米軍厚木基地(神奈川県)の空母艦載機59機が2017年ごろまでに移駐することが決まっている。
実現すれば、岩国所属の米軍機は127機となる。現在、在日米軍基地で所属機数が最多の米軍嘉手納基地(沖縄県嘉手納町など)をしのぎ、極東最大規模の米軍基地となる。
12年7月には米軍新型輸送機MV22オスプレイが国内で最初に搬入され、本土訓練の拠点ともなった。また米側は最新鋭ステルス戦闘機F35を米国外で初めて配備する方針も表明している。
空中給油機の移駐は、普天間移設問題の解決に向け、沖縄の負担軽減を目に見える形で進めたい日本政府が、当初より前倒しで実施する方針を決め、地元岩国市も受け入れた。
日本最大の米軍基地に変貌しつつある岩国基地。地元岩国市での反基地運動は盛り上がりに欠け、議会での議論も低調だ。
「空飛ぶガソリンスタンドと呼ばれるKC130が来れば、軍事基地としての危険性は増す」
13年12月の市議会本会議で、基地反対派の田村順玄(じゅんげん)市議は空中給油機移駐計画の見直しを訴えたが、市は「基地負担は生活環境の変化で評価する」とかわした。騒音など住民負担が小さければ問題はないという立場で、軍事拠点としての危険性を訴える反対派の議論とはかみ合わなかった。
基地反対の声が盛り上がらない理由について市の担当者は「沖縄と異なり基地が海沿いにあり、負担を直接体感する住民が少ない」点を挙げる。
さらに地元山口県では保守勢力が強固なこと、米兵の重大犯罪や事故があまりなかったことも背景にあるとみられる。(SANKEI EXPRESS)