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【躍動する大地ジオパーク】(1)鹿児島 桜島・錦江湾 たなびく煙 噴火のたび地形変化
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毎日のように噴煙を上げる桜島は、噴火のたびに山の形を変えてきた=2013年11月15日、鹿児島県鹿児島市野尻町(田中幸美撮影) 昨年(2013年)12月16日、とかち鹿追地域(北海道鹿追町)が日本ジオパーク委員会によって33番目の日本ジオパークに認定された。「ジオ」はギリシャ語で、ジオパークは通称「大地の公園」という。貴重な地形や地質を保護しながら教育や観光資源として活用するのがジオパークだが、ここ数年、日本でも認知度が少しずつ高まり、訪れる人も増えてきた。やはり昨年9月に日本ジオパークの新顔となった桜島・錦江湾ジオパーク(鹿児島市)を訪ねてみた。
市街地のどこからでも望める桜島は、毎日のように噴煙を上げ、2010年からは毎年1000回を超える噴火を起こしている。噴煙を上げるたびに歓声を上げるのは観光客だけで、「大丈夫 横も向かいも 灰だらけ」と川柳に歌われるように鹿児島市民にとっては日常茶飯事。傘を差したりマスクをしたりする人もいない。気になるのは風向きだけという。
人口60万人を超える鹿児島市街地から海を挟んでわずか4キロ、フェリーで15分。周囲約50キロの桜島に近づくにつれて、溶岩の名残のようなごつごつとむき出しになった黒い岩肌が見えてきた。島内には4つの小学校と3つの中学校があり5116人が生活する。
桜島は日本で最も活動的な火山で、これまで記録に残る4回の大噴火を起こし、そのたびに地形を変えてきた。大噴火で流れ出した溶岩は、植物を破壊して岩だらけの地形を作る。溶岩の上に植物が生えて森になるまでには200年の歳月を要するという。
桜島・錦江湾ジオパークには約10人のガイドがいる。ジオツアーのガイドをしてくれたNPO法人桜島ミュージアム理事長の福島大輔さん(40)は、火山の山肌の様子や流れ出た溶岩がわかる散策道や展望台などを巡りながら図解のボードを掲げてわかりやすく説明。「桜島にはさまざまな時代の溶岩があるので、植物が回復するまでの全ての過程が見られます」と話す。
桜島は灰をまき散らすだけの迷惑な存在ではない。火山活動によって形成された大地は桜島小(こ)みかんや桜島大根などの特産品を生み出し、深い内湾である錦江湾では養殖が盛んだ。帰りのフェリーでは錦江湾を泳ぐイルカに遭遇した。
福島さんは「毎日噴火し、60年近く火山灰が降り続ける特殊な環境で人々は生活するが、地域おこしとして桜島をとらえる姿を見てほしい」と桜島の魅力を語った。(田中幸美(さちみ)、写真も/SANKEI EXPRESS)